「第二回 カスタマーサクセス天下一武闘会 -」に行ってきた
第二回 カスタマーサクセス天下一武闘会 - CS HACK #23 に参加して来たのでレポート。 cshack.connpass.com
イベント内容
カスタマーサクセスに取り組む企業による、施策のプレゼン対決。
今回のテーマは「直近1年間での月次収益(MRR) or ACV (一顧客あたりの年間平均単価) 向上施策」。カスタマーサクセスにより、どう売上を拡大させることができたのか。登壇する4社は何を考え、施策を実行し、どんな成果を出したのか。予選2試合(?)、決勝1試合の計6回の白熱したプレゼンが行われたので、その内容と感じたことをアウトプットします。
登壇者
予選A組
- 株式会社トレタ カスタマーサクセス マネージャー 鈴木 高太郎
- 株式会社ヤプリ カスタマーサクセス部 部長 市川昌志
予選B組
- App Annie Japan 株式会社 Customer Success Manager 大滝 徹也
- 株式会社ABEJA カスタマーサクセス&カスタマーサポート マネージャー 丸田 絃心
予選A組プレゼン
トレタ アップセル・ターゲットを見つけるまで
- サービス内容
- 予約台帳のオンライン化、一元管理
- オプション
- POS連動 MRR¥4000
- 電話連動 MRR¥10,000
- グルメ媒体との連動 MRR¥10,000
- クライアントのサクセス=繁盛 と定義
- トレタの課題
- CS一人あたりの担当=1,000店以上
- 営業、商談可能な時間=アイドルタイムの3時間
- 担当数が多く、コミュニケーションが取れる時間が限られている
- 顧客を絞る必要があった
- 顧客にフィットした提案をする必要があった
- 課題に対する打ち手:顧客の可視化
- 活用度マトリクスの作成
- 顧客のステージ×ヘルススコアによってセグメントを分ける
- セグメントに応じて施策、打ちてを決めて提案していった
- フィジビリ時のルール=とりあえず100件やってみる
- 手応えが有った
- アップセルが出来たクライアントの傾向が見えた
- 活用度マトリクスの作成
yappli 半端ないアップセルへの道
- サービス内容
- プログラミング不要でアプリが制作できる
- 大手企業を中心に導入、アパレル、商業施設、通販、銀行、学校法人、等
- マーケティング領域から、社内システム、人事等にも利用が広がっている
- カスタマーサクセスへの取り組み
- 会社のミッション(?)に「カスタマーサクセス」が入っている
- カスタマーサクセス本部が存在、体制が整っている
- アップセル商材が豊富
- 営業段階からCSが介在し、アップセルのプランが組まれている
- アップセルのパターン
- 既存での横展開
- 既存契約企業が別アプリにも導入
- Push許可端末数
- 料金体系が「Push許可」されている端末数で決まる
- 基本、ダウンセルが無い
- 顧客のアプリが成長するにつれて費用が上がる=アップセルしやすい
- サクセスすると自動的に売上する商品設計になっている
- 既存での横展開
- 売上構成比
- 新規導入=70%
- アップセル、更新で全体の30%
予選A組・感想
ロータッチモデルのトレタ社と、ハイタッチモデルのyappli社の対決。
トレタ社は圧倒的な担当店舗をいかに効率的にアップセルにつなげて行くかを追求した仕組みを構築。yappli社は商品、事業組織をアップセルまでつながるよう設計したうえで、当てはめられる商品の選択肢を数多く用意することで様々なクライアントのサクセスストーリーに対応できるようにしている。
同じ”カスタマーサクセス”でも、対象クライアント層や単価によってここまでアプローチの方法が違うのか、と思うほど対照的な2社だった。
yappli社が時間内にプレゼンが終わらず、本題の内容に踏み込むことが出来なかったのがもったいなかった。。
予選B組プレゼン
App AnnieとExisting Business
- 売上
- データのデリバリー量で決まる
- アップセルの例:対象国の追加、カテゴリーの追加、プラン変更
- 行動指標
- surpriseを減らそう
- 日々の活動
- ハイタッチとロータッチの間で日々活動
- 定期的なコミュニケーション
- リアルな声を拾う
- 30社ほど担当、全顧客に対し、Qごとに必ず1回は訪問
- 訪問の目的
- ヘルスチェック
- トレンドのアップデート
- データのチラ見せ(アップセルに関わる)
- 結果
- アップセルフォーカスアカウントの選定
- 6アカウント確定、4アカウント交渉中
- チャーンの減少
- 訪問の目的
ABEJA コミュニティタッチのアップセル戦略
- サービス内容
- GAのリアル店舗版
- 店舗内のセンサーで顧客の動きを把握
- アップセルにおいて大事なこと
- 顧客の課題を作り出すこと
- 課題=理想と現実のギャップ
- サービスの良さを伝えてもらうこと
- サービス提供側ではなく、利用者から伝えてもらう
- 解決策:コミュニティタッチ
- 顧客の課題を作り出すこと
- コミュニティタッチとは
- 利用者が成功体験を共有してくれる→新規のクライアントを連れて来てくれる
- 紹介を受けた新規のクライアントが既にオンボーディングを受けた状態になる
- オンボーディングの時間が半分に短縮出来た
予選B組・感想
いずれもハイタッチモデルの2社によるプレゼン。AppAnnie社は公表された情報が少なく、判断しづらかったが、突然のチャーン等「surpriseを減らす」ことを行動指標とし、そのために年4回全てのクライアントに訪問しヘルスチェックを行っているのはシンプルに凄いと思った。ABEJA社の”コミュニティタッチ”の手法は、海賊指標やマーケティングファネルのリファラル獲得のプロセスをカスタマーサクセスからのアプローチで仕組み化しラベル付したもの。グロースハックとかマーケティングの文脈で聞いていた話を別の視点から聞くと新しいモノの様に聞こえる不思議。
決勝プレゼン
トレタ カスタマーサクセスらしい売り方
- どのタイミングでアップセルを仕掛けるか
- オンボーディング期
- オンボーディング完了した瞬間に売り込む
- 契約後、使い方の説明を実施、紙の予約台帳を捨ててもらう
- 使い方説明後、紙の台帳を棄ててもらったことをTELで確認したタイミングでオプションを提案する
- 目標達成したタイミング=次のステップ(アップセル商材)提案が刺さりやすい
- 稼働後のクライアント=サクセスマップ(店舗カルテ)の活用
- 店舗カルテ=課題リスト
- 顧客の課題に対して、どのチーム、プロダクトがどの様に対応するのかを検討
- 顧客にいかに喜んでもらうか
- ジョハリの窓の「秘密の窓」を意識
- クライアントのコンディションに合わせて、対応を分ける
ABEJA ハイタッチのアップセル戦略
- なぜアップセルは起きるのか
- サクセスマップの作り方
- 顧客ごとに課題も目標も異なるため、画一的なフォーマット化は難しい
- 経営〜現場までを巻き込んだ、ワークショップの実施
- クライアントあるある
- 助言を嫌う、行動しない、社内で合意が取れない
- ワークショップを行うことで、自分ごと化される、行動レベルに落とし込める
- ワークショップで確認すること
- あるべき理想像
- 現状
- ギャップ(課題)
- 解決策
- ワークショップで出てきた確認事項をマッピングし、まとめるとサクセスマップが出来上がる
決勝・感想
両社圧巻のプレゼン。ロータッチvsハイタッチの対決になったため、単純に比較は出来ないが、ロータッチのトレタ社は数多くの試行錯誤を繰り返し、膨大なクライアントを仕分けることで効率的に捌く仕組みを構築。一方のABEJA社はクライアント全体を巻き込んだワークショップを実施することで、クライアントが自ら課題と解決策に気づき、自走するまでのロードマップ(サクセスマップ)作成の手助けを行う。ここまでしたらコミュニティタッチもリファラルもそりゃ機能するわ、と納得のいく究極のハイタッチモデル。
本題と全然関係無いけど「顧客のペイン」をプロダクトで解決する、というよくある考えがイマイチ腹落ちしていなかったのですが、トレタ社の「ジョハリの窓」を顧客とプロダクトとの関係にあてはめる、という話を聞いてスッキリしました。顧客が気づいていることにアプローチしても、顧客の期待値を上回ることは出来ない、と理解。どこかで使おう。
アプローチの方法は全く違えど、どちらも顧客の”サクセス”を把握し、その実現に向けてどの様に伴走しながら商品を当てはめて行くか、revenueにつなげて行くか、までを業務に落とし込み仕組み化している点は共通していて、組織としての強さを感じたプレゼンでした。
まとめ、感想
刺激的であっという間の2時間だった。自社のプロダクト、業務フローにどこまで落とし込めるかが大事だとはわかってはいるものの、各社の取り組み内容が凄すぎて正直、どこから手をつけたものか。。 笑
各社共通していたのは「顧客のサクセスは何か」をそれぞれのやり方で把握し、カスタマーサクセスのプロセスにしっかりと組み込んでいること。教科書どおりではあるものの、「カスタマーサクセス」はそれが前提条件である、ということを改めて感じたので、まずは改めてそこからしっかりと向き合っていこうと思います。
それと、普段参加している不動産系のセミナーと客層が全く違って若い!女子多い!w 話の内容も、いつものセミナーだと「こういうことをやって上手く行ったので商品化しました、買って下さい」ってオチがつくのが、全くそんなことなく、成功事例をお互い共有してみんなでハッピーになろう!的な前向きな空気にあふれていて、不動産業界とIT業界でなぜこんなにも違うのか、としみじみ感じました。既存プレイヤー、既得権の有無なんだろうな、きっと。
イベント「 CNET Japan不動産テックカンファレンス2018 」に行ってきた
2018/10/4に行われた、「CNET Japan不動産テックカンファレンス2018」に行って来ました。
参加した講演
時間の都合上、2つの講演しか参加できず。。
参加した講演は以下2つ
不動産とテクノロジの融合 IoT・AIがつくる未来
株式会社アクセルラボ・代表取締役 小暮 学氏による講演。不動産会社のIT部門からスピンアウトし、AIホーム、IoT機器の販売、アプリの提供などを手がける同社のプロダクトついてのプレゼン。居室内での行動に応じて自動音声が最適なメッセージを発するなど「AIすげぇ」って素直に思ったが、まだまだお金持ちのおもちゃ、と言う印象。
事業背景
- これまでの不動産業界=ハードのみが進化してきた
- 居住者が次に求めるもの=UX(健康・安心・楽しさ)
- 携帯電話のパラダイムシフト=卓上電話→携帯電話→スマートフォン
- スマホの登場により、様々な情報に誰でも瞬時にアクセスすることが出来るようになった
- 家で過ごす時間は人生の60%を占めるが、家のUXは人が家に合わせているのが現状
- 不動産のパラダイムシフト=家が人に合わせるUXを提供する、ハードからソフトへの転換
- 居住者のUI/UXをいかに高めていくかが重要
サービス紹介 "alyssa."
- スマートホームコントローラーとして2017年2月にリリース
- エアコン、施錠、床暖房、給湯、証明などの操作がスマホアプリから可能
- DL済みユーザーに対する登録済みユーザー率=46%
- 登録済みユーザーに対するMAU率=92% ※LINEで8割程度
IoTのその先(alyssa.今後の展開)
- Brain of Things社に出資「キャスパー」の日本語化・ローカライズに取り組む
- キャスパーの3つのレイヤー:① コネクト(センシング 情報収集)② 住んでいる人が何をしていて、どういう状態なのか、部屋中のセンサーで情報を取得 ③ AI(深層学習、分析)
- センサーで集めた情報をAIで分析
- UX(経験、実行):学習した情報を元に、次の行動をAIが判断し、実行。居室内の行動の300パターン程度認識出来るようになっている
クックパッドが目指す明日の街づくり - 生鮮EC「クックパッドマート」
クックパッド株式会社・買物事業部の福島氏、佐藤氏による事業プレゼン。会場にいたら「クックパッドがなんでこんな場に??」という声も聞こえて来たが、レシピと材料の購買行動を地域の物流や商店と結びつける=街づくり、不動産業の協力が不可欠、ということらしい。不動産テックか、と言われると少し無理やり感が有ると思うが、事業のコンセプトは面白いと思った。
cookpadmart・事業紹介
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食材をスマホで購入し、自宅近くの施設で受け取れる
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18年9月20日、地域限定でリリース
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その日に欲しい食材をスマホで注文。好きな時間、場所で受け取れる
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新たな置き配モデルを目指す
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好立地、スペースに余裕がある、ついで買いが促せる等のスペースに配置
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生鮮流通のあり方を変える
社会背景
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「共働き世帯」「ひとり暮らし」世帯を中心に、買い物難民が増加
解決する課題、サービス概要
住む場所で「毎日の食生活」が決まってしまう現状
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地域に限られたスーパーマーケットへの依存度が高い
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ロス率の低い安定需要のある食材しか店頭に並ばない
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食品市場60兆円超の中で、EC化率は1.9%
「買いだめ」や「作りおき」に依存しない食生活づくり
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既存の宅配サービスは原則として個配、対面受け取り
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配達コストを回収するために「最低注文金額」や「定期購入」を促す必要がある
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物流センターを通すため、葉物の取扱が難しく精肉・鮮魚は冷凍品が主
受け取り先提携企業
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店舗にとっての来店促進効果、手数料を数%バック
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地域を支えるチェーンストアなどと提携
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ドラッグストア各社、カラオケ店、行政等
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今後の設置先開拓の展望
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中規模マンションの共用部
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オフィス
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保育園など
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目指すもの
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食品の買い物をEC化の力で自由化し、地域受け取りで「街を再活性化」させる
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新たな小売ECのプラットフォーム
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小規模事業者にとって、EC化導入の敷居が高い
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地域の農家や街の販売店から当日中にピックアップ
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近距離配送に特化することで手数料、コストを圧縮
感想、まとめ
講演の内容に目新しいものがそれほどなく(クックパッド社くらい)、また、講演内容も直前まで決まらず、満席表示の講演も空席が目立つなど、「不動産テック」という業界自体が盛り上がっていないのではないか、とすら感じてしまう様なイベントだった。
考えてみれば、一口に「不動産テック」と言っても、対象領域が売買なのか賃貸なのか、ユーザーがオーナーなのか入居者なのか不動産事業者なのか、によって集客の対象も求められるコンテンツもバラバラなはずなので仕方ないのかもしれないが、業界の中にいる身としては残念に感じた。こんなんじゃいつまでもテック人材がこの業界に見向きもしない。。
読書履歴:エンジェル投資家 / ジェイソン・カラカニス
Facebookで知人がおすすめしていたので読んでみた。
アメリカでスタートアップ企業に投資を行う、エンジェル投資家が書いた、スタートアップへの投資体験談と成功確率を上げるためのノウハウが満載。Uberへの投資で巨額のリターンを得た投資家として著名な著者だが、本書の内容はよくある成功者の自慢話では全くなく、様々な失敗談と失敗を回避するための経験則がテンポよくまとめられていて非常に読みやすかった。※話し言葉が用いられていたり、文字の大きさが唐突に変わったり、若干クセのある文体なので多少好き嫌いが分かれるかも。
本書に書かれている内容は「投資家」だけに役立つ話ではなく、スタートアップと取引を行う際や、転職先にスタートアップを選ぶ際など、何かをスタートアップ企業に賭ける際の判断基準としも使えると思う。自分には投資家の視点は少し縁遠いので、労働時間の投資先としてどういうスタートアップを選ぶべきか?という視点に置き換えて読み進めた。
特に、18章・19章の「創業者に聞くべき質問」は必読。たしかに、この質問の回答に答えられなかったり誤魔化したりする創業者は信頼できず、距離をおくべきだろう、という納得の質問が並ぶ。スタートアップの立場からすると出来れば誤魔化したい内容で、こうしてあらかじめ質問内容を公開してもなお、まともに回答出来るスタートアップは増えないだろうし、逆に、こうした表に出しにくい情報をオープンに出来る企業に投資や信頼が集まっていくのではないだろうか。
イベント「カスタマーサクセス(CS)×レガシー産業」に行ってきた
イベントレポート『カスタマーサクセス(CS)×レガシー産業〜 彼らはいかにITを受け入れたのか 〜』
こちらのイベントに参加して来ました。
医療 / 製造 / 建設業界は日本においてIT化が遅れている代表的な業界。 業界ならではの商習慣や目には見えないしがらみ、ITリテラシーが総じて低かったりとレガシー産業にITサービスを浸透させ、顧客を成功へと導くためには多くの労力や施策、サポートを必要とします。いいプロダクトを提供したとしても、生半可なサポートでは浸透しない、それがレガシー産業の大きな特徴といえます。
FacebookのTLに告知が流れて来た時から楽しみでした。イベントの説明の時点で共感出来ることこの上ないw
盛り上がりを見せている”カスタマーサクセス”ですが、B向け、特にレガシー産業や中小企業を対象にした情報はなかなか得られる機会がないため、非常に有意義な会でした。CSに限らず、Sales、プロダクト開発、etc…同じ軸で職種を変えてもニーズがありそう。
イベント・メモ
登壇者紹介
メドレー 小川さん
- ヘルスケア分野の課題解決(求人、メディア)
- 「クリニクス」オンライン診療を可能にするアプリ
- 行動規範「凡事徹底」「未来志向」「中央突破」
アペルザ 武末さん
- アペルザ:製造業向けITサービス
- アペルザのミッション「ものづくりの産業構造をリデザインする」
- 製造業市場:22.6兆円 中間市場:8兆円→これをリプレイスする
- 製造業におけるEC、マッチング、メディア事業
- ニューレボの経営顧問
シェルフィー 松井さん
- 建設業向けITサービス
- 市場規模:4兆円
- 過去5年で労働者が30%減少、資材費が高等→今あるリソースの最大化
- 多重構造による無駄な中間マージン(年間6.9兆円)
- 商業建築における日本最大級のプラットフォーム
オンボーディング&ハイタッチの手法
レガシー産業のユーザー特性という観点から、導入支援で苦労したこと、またそれをどう解決したか?
小川
- 営業からCS担当への切り替えがうまくいかない
- CS担当も必ず1度は訪問する
- 営業からCSに切り替える前に営業から切り替え後の流れをきちんと説明する
- CSが訪問することで、事業がスケールしにくくはならないか?
- →目下の課題。顧客によって対応の濃淡を分ける等の検討はしている
- 営業からCS担当への切り替えがうまくいかない
武末
- クロージングの設定
- ほっておくとなかなかオンボーディングしない
- 売上を上げるための商材であるため、特集のタイミングを逃さないよう期限を切って行く
- CSへの引き継ぎ
- 営業は外勤ゆえにすぐに対応出来ない、CSは内勤なのですぐに対応できる、とクライアントへ伝えると、CSに連絡してもらいやすい環境が創れる
- クライアントから連絡が来るようにする為に何か仕組み化しているか?
- クロージングが重要。特集に向けて〆切を切っておくと、機を逃すと売上があらなくなるため、わからないことがあれば連絡せざるを得ない状況を創れる
- クロージングの設定
松井
- Salesの時点で、ミッションやビジョンに共感してもらえているかどうか
- Webからの登録者よりも、営業が口説いた登録者の方がロイヤリティが高い
- ユーザーの利用ステップを4つのステップに分けて、一つずつステップアップしてもらうようにしている
司会者質問
- 業界のペインに対してサービス提供しているか?
- 小川:オンライン診療は「やらなくて良い」サービス。そこにペインが有るわけではないため、サービスが目指しているものへの共感の方が大事
ハイタッチ、Techタッチ、ロータッチはどんな基準で決定しているか
- 武末
- Techタッチは基本やらない。基本訪問。
- ハイタッチでは、クライアントが気づいていない効果を可視化することを行っている(安価なBIツールを利用したダッシュボード機能を提供)
- 効果があろうがなかろうが、全データを開示し、効果があれば共に喜び、無ければ対策を検討する。顧客と一緒に考えるパートナー。
- 小川
- 全クライアントに対してハイタッチを実施。
- 松井
- 基本ハイタッチ。
- 一日3回、登録者のライフサイクルに合わせてコミュニケーションを図っている。
- ユーザーにログインさせるために、情報を隠す等の手を使っていたが、ユーザーに無駄な時間を使わせていると判断してやめた。
- ゼンデスク等を使っていたが、オンラインマニュアル等は一切見られない。ハンバーガーメニューがメニューだと思われないため、文字で書く等の工夫もしたが、それでも見ない。
- メールに全部キャプチャ貼ってテキストで説明しないとわからない。
ユーザーの継続的な利用のために取り組んでいる施策
- 小川
- オンボーディングまで4回訪問、公開から2ヶ月後までに予約が入るように提案している。
- 2ヶ月間予約が無いとほぼ100%解約されるため
- 患者への案内方法〜オンライン診療までの一連のプロセスについてヒアリング実施、課題抽出→改善提案のサイクルを回している
- 武末
- 松井
- マッチングサービスであるため、発注者・施工会社それぞれのケアが必要。特に、発注者側には超ハイタッチで接している
- 発注者側はぼったくられたくないため、受注者側に無駄な労力を強いがち。これが進むと場が荒れる
- サービス提供者側で受注者側(商品)の質が高いように見せる工夫が必要
組織&チーム作り
初期の運用体制や取り掛かったこと
- 小川
- 以前は今以上にハイタッチだった。毎月オンライン面談を行っていた。
- メリット:チャーンレートは今より良かった
- デメリット:現場の疲弊、顧客が自走せずCSに甘えがち。顧客満足度は高いがアクティブ率は低いという良くわからない状況に陥った。
- 毎月の面談をやめ、2ヶ月以内のオンライン予約獲得にフォーカスした
- 営業からCSへの引き継ぎは顧客情報を「カルテ」として共有している。
- SalesForceを超カスタマイズし、1社あたり3スクロール分くらい情報を持っている
- 以前は今以上にハイタッチだった。毎月オンライン面談を行っていた。
- 武末
- 人員をかけすぎない、オペレーションエクセレンスの追求
- 前職で500件/月のCS対応を行っていた。その結果、空気を吸うように顧客のことがわかるようになった、運用を突き詰めて考えられるようになった。
- 初期は営業との連携が大事。上手く行っていないと、オンボーディング・教育コストが高くつくため、営業からサービス導入の目的、背景を「カルテ」として共有している
- 松井
- サービス立ち上げ時に、現場に訪問し「現場で何が行われているのか」を徹底的に調査した
- 現場で調査した内容をQAに反映し可視化したことで、クライアントの対応が行いやすくなった
IT導入のハードルが高いユーザーに向き合うためにチームづくりで意識していること
- 武末
- CS対応は全員、元営業担当。クライアントのことがわかっていないと意味がない、クライアントに伝わらない。
- クライアントのことが想像できるかどうかがものすごく大事。
- クライアントを教育し、クライアントにサービスや会社のスタンスを理解してもらうことが大事。
小川
- CS担当一人ひとりがやることが多くタスクフルであるため、CSメンバーがオンボーディング以外の作業に頭も時間も使わない様な環境を提供できるようにしている。
- 例:アポ取りはアシスタントに任せる、等
松井
- 雰囲気、環境作り。CSは疲弊するため、話しやすい空気づくり等が意外と大事。
- ホスピタリティの高いだけでなく、自分は楽したいタイプの人がいないと仕組み化・組織化が上手く進まない
質疑応答
オンボーディング完了は期間の経過なのかどうか
- 小川
- 期間でおいている(公開から2ヶ月間)、その後はサポートデスクで対応。
- 定期的にクライアントから評価を回収、内容に応じて個別にサポートを実施
アラートがならないクライアントのケアはどうしているか
- 武末
- 小川
- メルマガ配信を実施。政府の通達内容の解説、他業者の取り組み等を定期的に配信。
- 武末
- メルマガめちゃくちゃ重要。レガシーな業界であれば、ITツール利用者、検討者=イノベータとみて間違いない。
- スタートアップであれば、効果事例や導入事例、サービスのアップデート等は常にあるはず。ステップメール等ではなく、テキストメールの一斉送信で十分。HTMLは非対応の場合がある。
感想
登壇した3社ともに、『クライアントとの向き合い方は訪問を前提としたハイタッチ』『Salesの時点でサービスのビジョンに共感を得られていることが大事』『オンラインマニュアル等のTechタッチは効果が無い』といった、浪花節営業かな?と思うようなことを言っていたのが非常に印象的でした。レガシー産業ならではなのか、スタートアップあるあるなのか。。
特に、メドレー小川さんの『オンライン診療は「やらなくて良い」サービス。そこにペインが有るわけではない』という発言は非常に共感できました。
新規マーケット創出タイプ、既存業務の効率化(ペーパレス化)タイプのサービスは、クライアント側からすると「それが無くても(今は)業務が回っている」状態にあるはずで、その前提の中では、サービス利用後に期待する未来に対して共感が得られない限りサービス導入は期待出来ないし、各社が口を揃えて言っていた『クライアントが何に共感しどういった未来を期待してサービス導入を決めたのかをSalesからCSへ引き継ぐ』ことが出来ないと、その時点でクライアントの期待を裏切ることになり、カスタマーサクセスが実現できなくなる、ということなんだろうな、と感じました。
読書履歴:仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか? / 木部 智之
2016年11月20日読了。
内容・感想まとめ
普段この手のハウツー本はあまり読まないものの、社内で「面白かった」とオススメされて購入。仕事を早く終わらせるための心構え的な大きな話から、エクセルテクニックなどの細かなことまで、まんべんなく網羅。社会人2~3年目くらい、業務が処理できなくなり出した頃のタイミングで読むと良いかも。
読書履歴:〈新版〉日本語の作文技術 / 本多勝一
2016年10月10日読了。
内容・感想まとめ
トレタさんのブログで『これさえ読めば誰でも「わかりやすい文章」が書ける!かもしれないと紹介されていたのに惹かれて衝動買い。
英語など言語とは異なり、日本語は述語が文章の中心となる言語であるという主張を軸に、述語をいかにスムーズに読ませるかという文章構成のノウハウ・テクニックを「修飾語の順序」「句読点の位置」など九つの章にわたって解説。
読みにくい文章を「翻訳」的文章であるとし、文章の主体がSVである英語やフランス語からそうでない日本語にそのまま訳した場合や、著者の日本語能力の稚拙さによって読者に「翻訳」を求める場合などを例示。
Webサイトに載せる文章や提案書などの読ませる文章を書くことが多く、また、文章を書いているうちに言葉の語順や句読点の位置に迷うことが多くなる自分にとって「こう考えればいいのか」という示唆を与えてくれる一冊。
一部、例文や用語に原著の古さを感じるが、考え方自体は理路整然としてまったく古さを感じない。定期的に読み返して血肉としたい本。
マーカー引いた所(引用・抜粋)
わかりにくい文章の実例を検討してみると、最も目につくのは、修飾する言葉とされる言葉とのつながりが明白でない場合である。原因の第一は、両者が離れすぎていることによる。
修飾語の語順には四つの原則があり、重要な順に並べるとそれは次の通りである。 ①節を先に、句をあとに。 ②長い修飾語ほど先に、短いほどあとに。 ③大状況・重要内容ほど先に。 ④親和度(なじみ)の強弱による配置転換。
符号の中でも決定的に重要で、かつ用法についても論ずべき問題が多いのはテンの場合である。
「わかりやすい文章のために必要なテンの原則」(構文上の原則)をまとめて列挙しておく。 第一原則 長い修飾語が二つ以上あるとき、その境界にテンをうつ。(重文の境界も同じ原則による。) 第二原則 原則的語順が逆順の場合にテンをうつ。 右の二大原則のほかに、筆者の考えをテンにたくす場合として、思想の最小単位を示す自由なテンがある。
構文上高次元のテン(文のテン)を生かすためには低次元のテン(節のテン)は除く方がよい。もしどうしても節のテンが必要になったときは、語順を変形して入れ子をはずせば解決する。
漢字とカナを併用するとわかりやすいのは、視覚としての言葉の「まとまり」が絵画化されるためなのだ。ローマ字表記の場合の「わかち書き」に当たる役割を果たしているのである。
漢字とカナの併用にこのような意味があることを理解すれば、どういうときに漢字を使い、どういうときに使うべきでないかはおのずと明らかであろう。たとえば「いま」とすべきか「今」とすべきかは、その置かれた状況によって異なる。前後に漢字がつづけば「いま」とすべきだし、ひらがなが続けば「今」とすべきである。
送りがなというものは、極論すれば各自の趣味の問題だと思う。ひとつの法則で規定しても無理が出てくる。あまり送らない傾向の人は全文を常にそうすべきであり、送りたい趣味の人は常に送るべきである。「住い」を「すまい」と読ませたり、「始る」を「はじまる」と読ませるのは、読者に一種の翻訳を強制することになりがちだ。やはり「住まい」「始まる」としたい。
文は長ければわかりにくく、短ければわかりやすいという迷信がよくあるが、わかりやすさと長短とは本質的には関係がない。問題は書き手が日本語に通じているかどうかであって、長い文はその実力の差が現れやすいために、自信のない人は短い方が無難だというだけのことであろう。
段落のいいかげんな文章は、骨折の重傷を負った欠陥文章といわなければならぬ。改行は必然性をもったものであり、勝手に変更が許されぬ点、マルやテンと少しも変わらない。
おもしろいと読者が思うのは、描かれている内容自体がおもしろいときであって、書く人が いかにおもしろく思っているかを知っておもしろがるのではない。美しい風景を描いて、読者もまた美しいと思うためには、筆者がいくら「美しい」と感嘆しても何もならない。美しい風景自体は決して「美しい」とは叫んでいないのだ。その風景を筆者が美しいと感じた素材そのものを、読者もまた追体験できるように再現するのでなければならない。
本を読むとき音読する人はほとんどいないけれど、しかし目で活字を追いながらも人は無意識にリズムを感じ取っているのだ。そうであれば、書く側がリズムにあわせて書かなければ読者の気分を乱すことになる。