Japan Customer Success Community(JCSC)#6 に行ってきた
カスタマーサクセスの第一人者による、ナレッジ共有イベント、Japan Customer Success Community(JCSC) #6「 俺たちの屍(失敗)を越えていけ!!~カスタマーサクセス、実はこんなこと失敗してきました!~」に行って来ました。タイトル長い。
イベント概要
※会場のウィングアーク1st社では、こんなkのイベントの様に社内スペースの貸出(?)もしているらしい。超・素敵なオフィスでした。
カスタマーサクセスに挑戦する人を応援するコミュニティ”Japan Customer Success Community”による忘年会的企画。普段は一度につき1社の登壇に限定しているのを、年末企画としてこれまで登壇した5社が”失敗談”をパネルディスカッション形式で語るスペシャル企画。
登壇者
- Sansan株式会社 田中 二郎
- HiCustomer株式会社 高橋 歩
- 株式会社ビズリーチ 鈴木 雄太
- ベルフェイス株式会社 小林 昭宏
- 弁護士ドットコム株式会社 岩熊 勇斗
- ベルフェイス株式会社 小林 泰己(モデレーター)
テーマ1:顧客情報管理
- クラウドサイン
- 様々な顧客情報の在り処が社内に散在していた
- 売上情報、ヘルススコアが散在していてデータ分析が適切に出来ない
- クラウドサイン=1契約あたり@100円のため、顧客の数だけ料金パターンがあるようなもの
- スケールする前にやるべきだった
- zuoraを導入し、MRRがすぐに出てくるようになった
- 金額を算出するための情報は一箇所にまとめて置くべき
- zuoraを入れなくても出来る管理は無いのか?→ズオラーである必要は無いが、スプレットシート管理は早くやめるべき
- Sansan
- 最近Salesforceにまとめるようになった
- もっと早くやるべきだった
- 一番困ったのは、過去のプラン変更等の変化のポイントが蓄積されておらず、現状なぜこうなっているかがわからなかったこと
- ビズリーチ
- はじめから顧客情報をまとめておくことは現実的に可能なのか?
- 情報をショットで取るべきなのか履歴で取るべきなのか、管理方法で変わるのでは?
顧客の情報、履歴を一箇所にまとめておかないと、将来振り返った際に「変化のポイント」がわからなくなる、というのはなるほど、と思った。ただ、顧客の情報が散在する状況って必要な情報を必要なタイミングでショットで取っていたものが蓄積された結果生まれやすい気がしていて(経験的に)、根本的な原因は、KPIが設計されていないこと、ストックすべき顧客の情報が定義されていないことなのでは無いだろうか。
テーマ2:再現性
- ベルフェイス
- 顧客の中に入り込むことを重視していたが、その水準の仕事が出来る人はベンチャーでは採用出来ず、スケールしないことに気づいた
- 誰でも出来るサービスレベルに落とし込むことが大事なのでは
- Sansan
- 体制が整ってよかったこと=再現性を高めるための仕組みづくりが出来るようになったこと
- オンボーディングセミナーで顧客のモチベーションを高めることが出来、再現性を高めることが出来た
- HiCustomer
- 始める前からサービスレベルは下げるべきではない
- 色々やってみてからちょうどいいレベル感に落として行くべき
業務が属人化するとその人が処理しきれる仕事の総量で事業のトップラインが決まってしまう=スケールしないのはそうだと思うものの、立ち上がりのフェーズにおいては「この人に聞けば良い」的な全部把握できてる一人に集約させ、まずはその人の業務の効率化・サービスレベルの均質化を図った上で横展開出来る体制を整えた方が良い気がする。調達や事業のフェーズによって何とも言えない課題なのでは。何もやってない時点から将来の事、汎用的な仕組みを考えてやろうとしてもおうおうにして絵に描いた餅になりがち。形から入るのでは無く発散したものを型にはめて行くほうが一見遠回りに見えて課題感がはっきりしている分早く標準化しやすい様に感じる。あと、何も出来上がって無い状態で「標準化」とか言う人見るとシンプルにいらっとする。笑。四の五の言わずに手を動かせよ、と。
テーマ3:忖度
- HiCustomer
- 顧客がプロダクト側に忖度して言ってくることと、利用の実態とが異なることがある。KPI等を元に事実はどうなのかを見る必要がある
- 顧客の忙しさ等に忖度してしまい、コミュニケーションを控えてしまうことがある
- ビズリーチ
- 社内外に遠慮せず、ありのままの情報を伝えるべき
- 開発部門にカスタマーサクセス担当がジョインしている
うーん、これはちょっとピンと来なかったTopicsなので割愛。
テーマ4:ユーザー会
- ビズリーチ
- ユーザー会の失敗:エンジニアを呼ぶもののうまく巻き込めない
- 顧客の声を聞いて貰うため、ユーザー会にエンジニアを呼んでみたものの、懇親会等でうまく顧客と絡めなかった→エンジニアがユーザー会に来づらくなった
- ユーザー会は4種類実施、ユーザー会ごとに来るユーザーの属性は異なる。月に1〜2回実施
- 活用方法の説明会
- ユーザーに事例を話してもらう会
- 外部から講師を呼ぶ会
- 飲み会
- 新規参加者が多い順に、飲み会>活用方法>外部講師>ユーザー事例
- 集客数は、活用方法・外部講師が多く、飲み会はボリュームが取れない
- 告知方法は以前はターゲティングして告知していたが、あまり意味が無かったため、メール&KARTEで一斉告知している
ユーザー会を行った経験が無いため何とも言いにくいものの、ユーザー会を月に1〜2回やっててそれだけの集客ができてる、それだけの母集団が存在するのは凄いな、と感じた次第。それだけやってたら集客チャネルとか参加者の属性分析とかするよね、と。
テーマ5:戦略
* Sansan * 戦略なき戦術は自己満足 * 色々やってみたが、全体の戦略=どこを目指しているのか、が無かった、施策間のつながりが無かった * 施策全体のつながりを考える為にCustomerSuccess部門を作った * CustomerSuccess組織:RenewalSales、CSM、CustomerMarketingの3部門 * 方向性がないまま手探りで色々施策をやってもうまくいかない * 何を目指すべきかを明確にした * どの様に旗を振ったのか→関係者ごとにメリットを提示した * 全体で300名を超えたあたりで全社の調整役の事業企画的な部門が立ち上がった * ベルフェイス * Customerジャーニー的なコンセプト、ストーリーが無いまま施策だけやり続けるのはしんどい * ビズリーチ * 戦略は有ったほうが良いが、戦術だけで動くのも意外とメリットが有る * CSのプレゼンスを上げる意味では戦術だけで動くのも悪くない、やってみて当たる施策もある * 戦略を考えようとして動けなくなるよりは、動けるところから動いた方が良い * CSが営業協力で同行等をしていた→営業からCSの存在が感謝されるようになった * クラウドサイン * 社内でのCSのプレゼンスを上げるには、CSのトップが突き抜け得た存在であるべき * いきなり”突き抜けた存在”になるのが難しい場合は、”〇〇な人”を目指すところから始めるのがちょうど良い。例えば、”お客さんのことを一番わかっている人”、など
一番考えさせられたトピックス。テーマのスライドが一瞬で切り替えられてしまったので、「戦略」じゃなかったかもしれない。どこに向かって走ったら良いかわからなければKPIの立てようも無いし迷走する、けど、考え過ぎてしまうと足が止まって身動きが取れなくなる。プロダクトのフェーズ、タイミングの問題な気もする。”◯◯な人”を目指す、という表現は非常にわかりやすくて腹落ちした。それなら自分にも落とし込める。一方で、そこを突き詰めすぎると前出の”属人化”の問題が出てくる。やっぱりタイミングの問題か。
Q&A
- クライアントの担当者が1名しかおらず、担当者が離職・異動してしまい、解約につながるパターンがある。それを防ぐにはどうしたらよいか?
- BtoBの場合は意思決定が点ではなく、上位者も含めた面で行われているはず
- 決済者まで含めたアプローチが必要。
- クライアントの社内の役割を始めから把握しておく。
- HiCustomer、SansanではProject開始時、導入時に役割(プロジェクト推進者、決済者、等)のリストをクライアントに埋めてもらう様にしている
- ベルフェイスでは”スター”の管理はSalesforceで行っている。導入時に決済者等からヒアリングして設定しているが、利用状況やメールの返信状況等のヘルススコア情報を元に定期的に見直している
- 各社でのカスタマーSuccessの業務範囲とは?
- クラウドサイン:受注後のすべての業務。
- スケール化、再現性を実現させるためにサービスレベルを落とした具体的なケース
- ベルフェイス:マニュアル化出来るかどうかで判断している。マニュアル化出来ない仕事はエキスパートチームに丸投げするようにした
- KPIとその取得方法、運用体制
- MAツールの利用状況
- ベルフェイス:タッチの種類による、MAツールで出来るのは広く薄く広めること
- ハイタッチで得た知見をMAツールで広める、組み合わせるのが良さそう
- CS立ち上げで何から始めるべきか
Q&Aで取り上げられていた質問をみるに何となく「カスタマーサクセスって何したら正解なの?」という参加者が多かったのかもしれない。でもそれって絶対答えは無いと思っていて、「カスタマーサクセス」が今年に入ってバズった言葉で何となく皆必要性を感じてるけどわかったようなわかっていないような感じで答えを求めてるだけであって、「◯◯って何したら正解なの?」の◯◯の部分に他の職種、例えば、社長とかBizDevとかマーケターとか営業とか入れても結果は同じで、どこの会社・プロダクトにも当てはまる答え、仕事の内容なんて無いはず。”カスタマーサクセス”で結果を出している人たちがこれだけナレッジを共有してくれているんだから、エッセンスを学び咀嚼して、自分たちならではの”カスタマーサクセス”を作って行くしかないなー、と、感じました。
「不動産テックセミナー:不動産テック協会設立イベント」に行ってきた
11/28に開催された、不動産テック協会設立イベントに参加して来たのでレポートします。
- 不動産テック協会とは?
- セミナー概要
- 挨拶
- 講演① テックと不動産市場の未来– 顧問 長嶋修氏
- 講演② JARECOの取り組み – 顧問 本間英明氏
- 講演③ 不動産テックは何をもたらすか? – 顧問 尹煕元氏
- 不動産テック協会の概要 – 協会案内、入会会社紹介
- 部会活動報告
- 感想、まとめ
不動産テック協会とは?
不動産とテクノロジーの融合を促進し、不動産会社・テック企業単体では実現出来なかった様な業界ルールの策定やビジネス機会の創出を目指して設立された団体。
セミナー概要
- 日 時:2018年11月28日(水) 19:00〜22:00(受付開始18:30)
- 会 場:fabbit Global Gateway Otemachi(大手町)
- 主 催:一般社団法人 不動産テック協会
イベント詳細ページ
【11月28日(水)】不動産テックセミナー:不動産テック協会設立イベント 〜不動産テック協会活動報告と最新版不動産テックカオスマップ発表〜 – 不動産テック協会
会場は某不動産フランチャイズ企業が運営するシェアオフィス、fabbit Global Gateway Otemachi。不動産賃貸の業界団体も入っている朝日生命大手町ビルの2階が会場。設営のため会場に到着したら、パネル前で代表理事の武井さんに遭遇。せっかくなのでパネル前で記念撮影させてもらいました。
挨拶
代表による開会挨拶
代表理事の赤木さんから開会の挨拶。
理事・顧問のご紹介とご挨拶
理事・顧問多い!顧問に不動産業界の”顔役”のような顔ぶれが揃っていて、しっかりした団体、という印象◎
会場は160席がほぼ満席で熱気むんむん。他のテック系イベントと比べると、男性比率とスーツ着用率、年齢層が高い!不動産業界ならではの参加者層でした。
講演① テックと不動産市場の未来– 顧問 長嶋修氏
ホームインスペクションについて
- 業法が改定され、インスペクションが義務化された
- しかし、何も起きていない
- インスペクションについて、物件のことがよくわかっていない宅建士が重要事項説明を行っているため
- インスペクションを浸透させたいのではなく、瑕疵保険を薦めたい思惑がある
- インスペクターの役割
- 建物、不動産のよくわからない所を明らかにしていく
- 買い主と同行し、物件の診断を行う
- 他国の状況
- イギリス
- 売り主がインスペクション情報を提供する仕組みだった
- 物件流通が停滞するようになったため、買い主が調査する仕組みに代わった
- アメリカ
- 売り主側が提供する仕組みだった
- インスペクターが不動産会社に忖度するようになったため、買い主側が提供する仕組みに代わった
- 売主側からの情報提供でうまくいっているケースは無い
- 買主側にとって物件の情報が意味有るもので無ければ意味がない
- イギリス
不動産データベースについて
- 不動産データベースの仕組み
- データベース化することのメリット
- 不動産業務の効率化
- インスペクション情報を加えることで、中古住宅流通を活性化する事ができる
- 国交省がやりたいこと=築年数を無視した建物価値の評価
- データベース化することのメリット
コンパクトシティについて
まとめ
- 中古住宅の価値はどうやって認められるか?
- 主役は不動産屋でも売り主・買い主でも無く、金融機関
- 金融機関が評価することで、物件価格が決まる
- 中古流通市場を動かすには、金融機関に判断させられるかどうか。テック会社に期待したいポイント。
講演② JARECOの取り組み – 顧問 本間英明氏
米国不動産の市況
- 日本不動産協力機構(JARECO)
- 全米リアルター協会(NAR)との相互協定により、国際交流、調査研究、教育研修に関する共同研究、情報交換を実施
- 全米リアルター協会(NAR)
- 現状、130万人ほどの登録リアルター(不動産エージェント)が在籍
- 米国不動産の市況
- 2017年は史上最高の売買件数、2018年は若干下落したため、バブルではないかと言われている
- NARのエコノミストは価格の下落は見られないとレポート
NARのDanger Report
- NAR自身が投資家等に向けてレポートを作成している
- 不動産エージェントにおける危機
- 様々な危機、リスクに対して取るべき挑戦と驚異に向けた対策をCEOが発表
- 戦略的シンクタンクの構築、新しい戦略的ビジネス及び技術グループの確率、等
米国不動産のREテック
- ビッグデータ、ブロックチェーンの活用がトレンド
- 入れ物ではなく、実装、効果のインパクトが評価される
- 不動産業におけるテクノロジーの課題
- 不動産テックを支える情報、データの標準化
- メンバーシップ、ルールをいかに遵守するか
- エージェントのITリテラシーの向上
- 他国の仕組みを独自化するのではなく、きちんと取り入れるのが大事
講演③ 不動産テックは何をもたらすか? – 顧問 尹煕元氏
不動産という金融
- 直近の30年で世界のあり様が変わった
- 2000年以降の日米の株価・住宅価格の変動は、リーマンショック後の下落から回復
- 不動産は金融なのか?
テックが出来る事、クリエイターが為すべき事
- テクノロジー:人間がそれまで出来なかったことを実現するための方法論
- テックが出来る不動産屋のRe-Design
- Design思考は分析思考とは異なり、アイディアの積み上げによるプロセス
- 不動産の評価は情報の見え方に依存する
- これまでは情報の探し方が重要だったが、情報が溢れるようになったいま、多くの情報の中から必要な情報を取捨選択出来るセンスが大事になる
- 不動産テックがなすべきこと
不動産テック協会の概要 – 協会案内、入会会社紹介
- 直近の目的
- 不動産側の人と、テック側の人との交流を生み出す
- 会員種別と会費
- 入会状況
- 約40社が入会
- 近々で100社を目指す
- 部会、活動
- 情報化・IoT部会
- クローリングに関する状況調査とルール策定
- 不動産情報の利活用に関する状況調査と活用案の提示
- 情報セキュリティの状況調査と対策案の提示
- 流通部会
- データベースフォーマットの検討とルール策定
- 電子契約に関する状況調査と活用案の提示
- クラウドファンディングの課題調査と対策案の提示
- 業界マップ部会
- 不動産テックサービスの状況調査
- 不動産テックカオスマップの定期更新
- 海外連携部会
- 海外不動産テックの情報収集
- 海外不動産テック団体との連携
- 情報化・IoT部会
部会活動報告
不動産テックカオスマップ最新版の発表 – 業界マップ部会
※近日中にプレスリリース、協会HPに掲載予定とのこと!
- 前回から1.4倍程度に件数が増加
- 不動産とテック、テックの中でも線引が曖昧
- テックに強い不動産会社、不動産もやってるテック会社、等が存在
- 不動産テックの定義
不動産情報集約化の検討 –情報化・IoT部会
- 情報の階層:不動産関連の情報は3つのレベルに分類出来る
- データ統合方法
不動産テック市場調査
- 不動産テック企業30社にアンケート調査
感想、まとめ
一口に”不動産”テックと言っても、カオスマップ制作にあたった方が「領域がまたがっているサービスもあり、線引が非常に難しかった」というように、賃貸管理、仲介(賃貸・売買)、リフォーム・リノベーション、価格査定、VR、IoT、etc,,,と多種多様。にもかかわらず、顧問3氏の講演が全て中古流通についての話だったところにギャップを感じて印象的だった。不動産業界のプレイヤーにとっては中古流通がメインストリーム、テック業界にとっては不動産市場の一部、どちらかというと縁遠い業界、といったような、認識の食い違い、潜在的な溝みたいなものが存在する様に感じてしまったのは考えすぎ??
あと、テック系のイベントでよくある、SNSに投稿されることを前提とした、ハッシュタグの用意とか「シェア禁止」のスライドとかが一切無いあたりに不動産業界らしさを感じました。セミナー等の場で発表された内容はNGと言われていない限りシェアされて当たり前、という感覚が不動産業界にも広まると、テック企業と不動産業界との溝も埋まっていくんじゃないかなーと思います。うまくまとめられませんが、「情報」に対する考え方が不動産業界とテック業界とで180度違う気がするんですよね。どちらが正解ということでは無いとは思いますが、ITの価値は誰もが情報の発信者・受信者になれることにあると思っているので、その考えに基づいて、今日のセミナー内容をシェアさせて頂きました!
「ブログ見てますよ!」と言われて思ったこと。
昨日参加した会合で、自分のためにやってるアウトプット(このブログ)が、実は誰かの役に立ってる、というフィードバックを面と向かって頂いて嬉しいやら恥ずかしいやら。
自分がなぜこのブログを始めたかというと、読んだ本とか参加したセミナーで得たインプット(学習)を自分に定着させるため、が一番の理由。多少、ほんとにあわよくば、アマゾンのアフィリエイトで小遣い稼ぎが出来たら良いな、という期待が有ったことは否定しないけど、想像通りそんな簡単には世の中うまくいかないものですね。。
不思議なもので、インプット↔アウトプットを続けていると、インプットしたらアウトプットしなきゃ、アウトプットすることが無いからインプットしなきゃ、という妙な義務感、渇望感に襲われるようになって、少しでも役に立ちそうなセミナーはないかと日々compassやらPeatixやらを巡回パトロールしてます。
そこには1ミリも「誰かの役に立ちたい!ためになる記事を書かねば!」みたいな高尚な理由は無く、また、誰かに「参加したセミナーの内容を共有しなさい」とか言われていても続かなかった自信があります。。
以前お会いした社長さんで、数年に渡り毎日ブログを更新し続けている方がいらっしゃって、「よく続きますね!?」と聞いたら「なんでも良いから毎日ブログを書くことを目標にしていたら、気づいたらブログを書くことが習慣になって、書かないでいることが気持ち悪く感じる様になった」とおっしゃる方がいらっしゃいました。当時は全く共感できなかったけど、今ならちょっとその感覚が理解できるようになりました。
話は変わりますが、インターネットって誰もが情報発信の主役になれる民主的(?)な場だと思っていて、誰が偉いとか、ヒエラルキー的階層が一切なく、最近テック界隈で話題の「ティール組織」そのものなんじゃないかと考えています。 世の中のビジネスがインターネット化していくにつれ、自分の仕事を自分でデザインし、必要に応じて所属する組織を選択できる人と、組織の中で誰かに与えられた役割の中でしか自分の仕事を定義出来ない人とに両極化していくんじゃないかと思うんです。
「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という会社で社会人生活をスタートさせた自分としては、後者の働き方なんてまっぴらごめんで、理想とする前者の働き方に少しでも近づける、そのために今できることのひとつが、こうしてブログを使って自分なりのアウトプットを続けることなのかもしれないです。
文章力が無くて全然質が伴っていなくて、拙さに恥ずかしさで死にたくなることも多々あれど、そこは当面気にせずにアウトプットし続けようと思いました。あー、ホント死にたくなるくらいまとまりが無い文章だ。。
「SaaS Product Manager Meetup vol.1 」に行ってきた
「SaaS Product Manager Meetup」は、SaaS事業を展開する各社のプロダクトマネージャーがパネルディスカッション形式でお話するミートアップイベント。
トレタ、Sansan、ネットプロテクションズ、各社のPMがどんな考えを元にどの様に優先順位をつけてプロダクト開発を行っているのかを知りたく、イベントに参加して来たのでレポートします。
SaaS Product Manager Meetup vol.1 ~市場のパイオニア企業たちによる裏側ぶっちゃけトーク~
イベント概要
- 主催:株式会社ネットプロテクションズ
- 日程:2018年11月14日(水)19:00〜20:30
netprotections-event1.peatix.com
登壇者自己紹介&事業紹介
Sansan株式会社
- 登壇者
- Sansanプロダクトマネージャー 峰松 隆太郎
- プロダクト開発で大事にしていること
- なんの業務を置き換えるか 業務が無いと使ってもらえない
- ユーザ層 toC向けサービスを参考にすると使いこなせなくなる人が多い
- 2:8 一部のイケてる人だけが使えればよいのかどうか
- 今後目指していきたいこと
- アプリファースト 業務でスマホ>PCになっている例はあまりない
- 他サービス連携
- グローバル
- 組織について
- プロダクト>プロダクト開発部>開発チーム
- 開発チームの構成はPM1名、UI/UXデザイナー1名、エンジニア3名
株式会社トレタ
- 登壇者
- COO 吉田 健吾
- 大事にしている考え方
- Issue First
- Respect All
- DIVE
- トレタの存在意義=外食産業が抱える課題を解決する
- 事業内容
- 市場規模とシェア
- 予約を取る可能性のあるお店(TAM):8.5万店
- 繁盛店:予約必須/予約管理必須な店:約1万店
- 準繁盛店:繁盛店に到達可能な店:約3万店
- 参考:ぐるなび正会員(月4万円):約6万店
- 市場におけるポジション
- 予約台帳シェアNo1(33%)
- 予約を取る可能性のあるお店(TAM):8.5万店
- プロダクト設計における要点
- ATMを使える人なら誰でも使えるUI/UXを目指している
- 紙台帳を捨ててもらう
- 飲食店の仕事を増やさない
- 予約事故誘発につながる機能追加はしない
- プロダクト開発の優先順位
- 飲食店の業務プロセスは店舗ごとに独自の進化を遂げているケースが多い。それをきちんと一度捨ててもらう必要がある
- 店舗からの要望を鵜呑みにすると事故率が上がって顧客のためにならないこともある
- 開発内容がプロダクトのビジョンに合致しているのか深掘りして考える
- 考えに考えた結果をプロダクトに反映しているため、創業時からトップページのデザインはほぼ変わっていない
- 組織
- つくる側:47名 売る側:61名 支える側:20名
株式会社ネットプロテクションズ
- 登壇者
- NP掛け払いプロダクトオーナー 中原 雄一
- キーワード
- 本来、自然状態で人は創造的だし、幸せになれるはず
- 妨げている歪みを0ベースで変える、アタリマエを作る
- 事業:歪みをなくす 組織:ティール
- 組織設計=Nearer
- 事業紹介
- NPかけ払い(債権譲渡型決済サービス)
- B向けの決済関連のサービス
- サービスミッション、ビジョン
- 取り組み方(Growth Point)
- グロース、オペレーション、リスクのバランス
- 事業推進、組織構築のバランス
- 「なくてもいい」を超える
- Our Way
- 長期視点
- ユーザー変革不要なプロダクト
- 全員で考える
パネルディスカッション
PMFを達成するまでのHard thingsは?
- ネットプロテクションズ
- トレタ
- Sansan
- 代表が「名刺管理」に対して課題に感じていたことがプロダクトの原点
- 「そんなコトに金は出せない」壁は存在した
- 手間が減ることではなく、トップラインに効くことをアピールして振り向いてもらう
- 名刺管理とは外れるが、営業フックになるような機能を作った(mail配信、SFA)
このビジネス実はここが難しい!それを超えれた強み・秘訣は?
- Sansan
- 経営層が思っていることと、実際に使うユーザーとで考えることが異なる
- 現場での導入を進めるために、初期名刺データの取り込み代行要員の派遣を行っているほど、入り込んでやっている
- CSが導入時の取り込み枚数をKPIに置いている
- トレタ
- 紙に戻られるとチャーンにつながるため、CSにはコストを投下している
- もともとは営業が商談からオンボーディングまで面倒を見ていたが、初期の営業メンバーの得意不得意に応じて分業するようになった
部署間摩擦は存在する?どう対処している?
- ネットプロテクションズ
- 重要な意思決定の場には全員が参加している、議論にとにかく時間をかけている
- 議論にコストをかけている分、摩擦は少ない
- Sansan
- 社長自身が「プロダクトの会社」であることを明言しているため、営業からの要望を反映しなくてもそれほど摩擦は生じない
- 納得してもらえるだけの説明責任は果たしている、情報共有に時間を割いている
開発の優先順位はどうやって決めている?
- トレタ
標準実装するかどうか迷った機能は?その背景は?
- トレタ
- 座席の配置図(レイアウト)機能開発
- 他社からの乗り換えを検討している大手から要望を受けたが、当時はプロダクトとして必要性が見いだせず、開発を見送った。(結果失注)
- 他店舗の予約も受付けられる機能を実装した際に、飲食店スタッフが他店舗の座席レイアウトを把握しているはずが無く、他店舗の座席図を把握する機能が必要になり、結局作った
- 座席の配置図(レイアウト)機能開発
- Sansan
- 画像データのテキスト化
- 人手で登録していることで担保出来ている「データの正確性」がプロダクトの肝
- 画像データを受付けてしまうと、サービスの信頼を損ない兼ねない
- 一度、大手からの要望で頑張って画像データを登録してみたことがあるが、データ元がイレギュラーであるがゆえに、あとから色々な不整合が起きてしまった。その反省から、今でも要望が多い機能ではあるが、やらないと決めている。
- 画像データのテキスト化
理念に合致した中途人材の採用、時間がない中での育成、どうやっている?
- トレタ
- 理念に合わない人が入ってきて困ったケースはない
- 採用の入り口の時点ではトレタのことをよく知らない人が大半
- 採用プロセスの初期の段階で理念でふるいにかける
- ネットプロテクションズ
- カルチャーギャップに苦しんだ時期が一時期あった
- カルチャー、理念をしっかり伝える様にしている
- Sansan
- 採用の入り口でビジョンへの共感はしっかり見ている
- 明確に手法や基準には落とし込めていない
- PM:事業成長、数値に向き合って、プロダクトに落とし込める人
- PMになる前の段階で、アソシエイトPMとしてサポートに入ってもらう
- 採用の入り口でビジョンへの共感はしっかり見ている
競合との向き合い方
- Sansan
- 情報を仕入れるようにはしているが、意識はあまりしていない
- 競合に負けるケースが増えて来たときに、その要因を検討する様にしている
- トレタ
- 基本的にはあまり気にしていない
- 最終的に飲食店に提供したい価値は他社とは違うと考えている
- ただし、2番手、3番手がトレタとの差別化のために開発した機能の中で、もっと早く作っておけば良かった、と感じる機能はいくつかある
- ネットプロテクションズ
- 競合の発表する数字等を気にしてしまうと、自社がやりたいことを歪めてしまうことになりかねない
- マーケティング施策は見るようにしている。自社がやった施策を他社も真似しているのを見ると、施策として良かったのだと感じる
- そんなに強くない競合が出てくることがプロダクトを強くする
よいPMとは
- Sansan
- 優先順位をどう決めるか=究極の課題、答えがない。答えがないことについて、自分なりに説明ができる人
- 一緒にものづくりする人ときちんと関係が作れること
- トレタ
- 自分たちのプロダクトの提供価値にフォーカスできる人。それによってつくる側を盛り上げることができる人。
- 経営、開発、ユーザー、色々な人の間で関係性が作れる人
- ネットプロテクションズ
- プロダクト、事業のつくる未来に本当に共感できている人
- コアな強みを軸に、関係するメンバーとうまく関係性が作れる人。バランスがうまく取れる人。
まとめ、感想
採用シーズンに向けてSaaS関連のイベントが増えてるのは本当にありがたい。カスタマーサクセスやセールス系のイベントはどうしても「こんな施策やってます」的なテクニカルな話になりがちなのに比べ、今回のイベントは対象がプロダクトマネージャーなだけあってプロダクトや事業のバリューやミッションへの共感、といったいわゆる”エモい”(こないだ社内でエモいって言ったらそれはもう死語だって若手にバカにされた。余談)話が多かった様に感じた。
プロダクトマネージャーの話を聞いていて感じたのは、テクニカルな話の前提として、PMFを果たしているかが本当に大事で、PMFに達していない中でテクニックに走っても何も良いことなさそうだな、というそもそも論。
そもそも、PMFというからには、対象となるMarketの定義、Marketに対して提供するProductの価値・バリューがFitしていることが大前提にあるわけで、登壇者が各々自分たちが想定している対象のMarket規模やユーザー像、それに対してProductがどういう価値を提供しているのか、それを実現するためにはどういう組織で有るべきか、までを、当たり前のコトの様に、一連のストーリーの様に語っているのを聞きながら、今更ながら改めてストンと腹に落ちた会でした。
あの人達、多分、寝ても覚めてもProductとMarketのことしか考えてないんだろうなぁ。そんな人しかいない会社は絶対に強い。
「SmartHR × FORCAS SaaS Career Night vol.2 」に行ってきた
UZABASE社主催のイベント『SmartHR × FORCAS SaaS Career Night vol.2 「バリューにもとづいたSaaS Sales Teamづくりとは?」』に行ってきたのでレポートします。
概要
最近、SaaS関連のイベントで目にする機会の多い、FOCAS社・SmartHR社が、どのようにバリューの浸透をさせ、圧倒的な成長をするSalesチームをつくっているのか。カスタマーサクセスの話を聞くことは有っても、Sales組織についての話はなかなか聞ける機会が無かったので行ってきました。
発表メモ
開会の挨拶
- 株式会社FOCAS 代表取締役 佐久間 衡
- FOCASは(数字は出せないが)めっちゃ伸びてるから仲間がほしい
- 大事にしていること「本音でつながる」
- 採用基準
- とことんオープンで本音ベースのコミュニケーションができること
- 未来のマーケティングをユーザーと共創するというビジョンへの共感
- 現職での圧倒的な実績
LT① 海外ユニコーンSaaS企業と同じスピードで成長するSmartHRの営業組織
登壇者
- 株式会社SmartHR 営業企画 工藤 慧亮
SaaSの特徴
- 1つのプロダクトを数多くの顧客が使う
- 開発リソースを有効活用できる
- スピーディーなサービス提供が行える
- 価格を抑えやすい、安価に提供できる
- 売上がどんどん積み上がっていく
- 毎月0から売上を積み上げるのではない
- 営業に余裕が持てる
- 先に損をして後で得をするモデル
- プロダクトめちゃくちゃ大事
- 売り切り営業とSaaS営業の違い
- 売り切りの営業:製品力が低くとも、売り方を工夫して受注できるのが良い営業
- SaaSの営業:無理やり売らず、製品にFBして製品力を高められるのが良い営業
SmartHRについて
- 利用企業1.8万社
- 解約率0.2%
- 海外ユニコーンSaaS企業との比較:twilio、box、shopifyと同じ位の成長率
組織について
- 社員82名(エンジニア・PM20名、営業20名)
- 平均年齢:21.3再
営業チームの変遷
- 2016年11月=営業2名、CS1名
- 現在=フィールドセールス7名、インサイドセールス3名、SDR8名
SmartHRの良いところ
- プロダクトチームが営業、CSの要望に応えてくれる
- やるやらない、その理由を明確にFBしてくれる
- ユーザーから求められている
- 人事労務=アナログでユーザーは困っていたが、ソリューションが全くなかった
- 顧客からの反応がよく、やりがいを感じられる
- 長期的に大きくなるビジネス
- チャーンレート・良いとされる数値=2%その10分の1
- 将来的にプラットフォーム化も考えている
- セオリーをセオリーどおりにやる
- チャーンレートを下げる可能性がある場合、無理に売らない。
- 顧客から引き合いが有っても断ることもある。
会社が抱える課題
- ビジネスも順調でいい会社
- やりたいことに対してリソースが全く足りていない
- 現在の「そこそこ良いSaaS」から「歴史に残るプロダクト&事業」にしたい
LT② SaaS業界で最速成長を目指すFORCASセールスチームが大切にしていること
登壇者
- 株式会社FORCAS 執行役員 COO 田口槙吾
FORCASの紹介
- Uzabase社の新規事業としてリリース
- 未来のマーケティングを創造し、世界の進化を加速する
- ユーザーとの共創にコミットしている
- BtoBマーケティングであるABMに特化したマーケティングプラットフォーム
- ターゲットリスト作成の自動化
- 営業ターゲットが幅広いビジネスモデル、BtoB企業での導入が多い
- Revenueチームの変遷
採用方針、価値観
- CompetencyはExecution/Edge/Valueの3軸で測る
- 採用の3つの誓い
- バリュー、ミッション、スキルの順番
- バリューフィットしない人はどんなにハイスキルでも採用しない
- 自分を超えそうな人を採る
- 合否決定を他責にしない
- バリュー、ミッション、スキルの順番
- 7つのルール https://www.uzabase.com/company/seven-rules/
- 社員数が30名を超えた頃に、内部崩壊しかけた際に作ったルール
- ルール① 自由主義で行こう
- 自分なりのベストな環境を自由に創る
- スーパーフレックス(出社義務なし、服装自由、リモート自由)
- 自分らしい人生を設計(ロングバケーション制度、自由研究制度、副業自由)
- 自由と評価、責任が紐付いていることが特徴
- 評価基準、タイトルがフルオープンになっている
- 自分なりのベストな環境を自由に創る
- ルール③ ユーザーの理想から始める
- ユーザーと一緒にサービスを作っていくことを大事にしている
- ターゲット企業を集めた200名規模のイベント実施
- オペレーション説明会
- ユーザーコミュニティ
- ユーザーと一緒にサービスを作っていくことを大事にしている
- ルール⑦ 異能は才能
- ぶっ飛んだ人間が集まるような組織にしたい
- そのために、対話、フェアでオープンでコミュニケーションを徹底
- オフサイト合宿、週次1on1(mgrの責務)、360°評価フィードバック
- 人間の活動の全ての矛盾はコミュニケーションでしか解決しない、オープンなコミュニケーションで解決出来ない課題は無い
- 健全なコンフリクトを起こして行くことが大事
パネルディスカッション・質疑応答
- 成果が出ているかどうか、どのような評価設計で判断しているか
- SmartHR
- バリューに沿って活躍が出来ているかでポイントをつけている
- 営業はOKR。等級が上がるにつれ、コミットメント=数字が求められる
- FORCAS
- ポジションによって具体的な評価基準が数値で決められている
- 何故あの人があのポジションにいるのか?というsurprise評価が起きないようにしている
- SmartHR
- バリューへの共感があまりないメンバーが既にいる場合の施策、バリューの浸透
- SmartHR
- 1on1を大事にしている
- 営業と開発のコミュニケーションが多いため、価値観の統一は自然と図れている
- FORCAS
- 共感がないメンバーがいないため何とも言えない
- 全社表彰の際に、バリューを軸にして表彰をしている
- マネジメントラインがバリューをしっかり理解していること、それを日々の業務でフィードバック出来ているか、徹底できているかどうか
- SmartHR
- ベンチマークしている会社はあるか
- 最初に採用すべきセールスメンバーのスキルセット
- SmartHR
- プロダクトが好きなことが第一。
- プロダクトをつくるためにしっかり営業ができるかどうか。
- FORCAS
- プロダクトマーケットフィットしなければSaaSは普通に死ぬ
- プロダクトが死ぬ前に、しつこくきちんとNoの理由を聞ける人
- SmartHR
- どういった基準で取引先を決めているのか
- SmartHR
- セールスプロセスの中に、CSが介在するプロセスがある
- SmartHRが活かせるクライアントかどうかを判断するための指標を元に判断している
- SmartHR
- SDRとインサイドセールスの違い
- プロダクトローンチ初期のリード獲得方法
- リード獲得におけるインバウンドとアウトバウンドの比率
- FORCAS
- コールドコール=0% 広告による獲得は獲得効率が悪いため、リアルのイベント等でリード獲得を行っている
- SmartHR
- アウトバウンド=10%程度
- インバウンドは結構変動する。マーケからSDRへ渡す際の基準を状況によってチューニングしているため。
- FORCAS
- 健全なコンフリクトを起こすために気をつけていること、ルール
- FOCAS
- 意図的にコンフリクトを起こさせる、コンフリクトが起きる前提で組織・仕組みを構築するのが重要
- それがマネージャーの仕事では?
- SmartHR
- 会社としてどこを目指しているか、分業して何を目指すのか、をオープンに会話しているからこそ、精算的な議論が出来ている
- FOCAS
- SaaS企業で優れたプロダクトを見抜くポイント
- SmartHR
- 狙った市場が良いかどうか。対象の市場を見る
- プロダクトの改善が早いかどうか
- FOCAS
- 経営者がプロダクトを作った理由が、その人の原体験に無いと結構厳しい。その感覚に共感ができるかどうか。
- ユーザーの声がスピーディーにプロダクトに反映されてるプロダクトは強い
- SmartHR
まとめ、感想
SmartHR、FOCASどちらからも、強烈なプロダクト愛というか、”バリュー”へのコミットメントを強く感じました。
”バリュー”という、土台というか、当たり前のモノ・揺るぎない信念・前提条件の様なものがあって、その上にそれを体現するためのプロダクト、それを適切に市場に届けるためのセールス・CS組織、組織内の目線を揃えるための採用・評価基準etc...が当たり前の様に紐付いているというか。うまく言語化出来なくてもどかしいんだけど。。
スキルは有るけど"バリュー"に合わない人は採用しなかったり、プロダクトが活用されないことがわかっているクライアントは利用をお断りしたりすることは、”バリュー”に対して組織の目線がそろっている一枚岩の状態であれば、そういうルールがあろうがなかろうが、”バリュー”の価値を下げたり毀損するリスクを回避するための自己防衛反応として自然に起こりうるコトなんじゃないかと思う。
"バリュー"を元に顧客や社員を、ある意味選べるのは、それが許される「正しい市場」に対してPMFを実現出来ているからであって、仕組みやノウハウを真似してもあまり意味がなく、ベンチマークされればされる程かえってその会社の”バリュー”が際立ち、他社との差別化につながるからこそ、こうして彼らは自分たちのノウハウを惜しみなく共有してるのかな、とも感じました。深読みし過ぎかな(汗)
「SaaS Conference TOKYO 2018」に行ってきた
概要
2018/11/02(金)に行われた、"SaaS Conference TOKYO 2018"に参加して来たのでメモをUPします。
SaaS Conference TOKYO – ARR 0から100億円まで。SaaSスタートアップの成長方法
- 概要
- Session01:3年連続300%像のSaaS企業のHardThings
- Session02:高速インサイドセールスの立ち上げと拡大
- Session03 Deep Tech × SaaS のビジネス構築
- Session04:CSとセールスがケンカをせず仲良く連携する方法
- Session05:IPO後も高成長を続けるSaaSプロダクトと組織
- Session06:SaaS事業の収益を倍増するカスタマーサクセス
Session01:3年連続300%像のSaaS企業のHardThings
登壇者
- 庵原 保文 株式会社ヤプリ 代表取締役社長
0→1のフェーズ
- 始め3年はきつかった
- SaaSは2パターン、バーティカルか、ホリゾンタルか→ヤプリはホリゾンタル
- 対象業界がどこかわからなかった
- 顧客の企業サイズがわからなかった(スモールビジネスを対象に始めた)
- 始めはアプリ1個1万円、オンラインセールスで売っていた
- ゲーム攻略系の会社がファーストユーザー=対象の会社がほぼ無い
- 株主からの紹介で、音楽業界の会社に提供、音楽機能をつけた→使われなかった
- 最後にあたったのはファッション業界(たまたま)
- アプリかライン@か迷っていた
- クーポンの要望が有った→作った→あたった
- 初めて費用対効果が見えた
- 何をやっていたらもっと早くPMFにたどり着けていたか?
- 対象の市場がどこまで広がるかを見る必要がある
プロダクトの売り方、マーケティング施策
- カスタマイズ要望、優先順位の付け方
- プロダクトのロードマップを敷いてある
- ロードマップ上に有るか、金を払ってもらえるか、複数社にニーズがあるか、から複合的に判断
- SaaS≠セルフサーブ
- スモールビジネスはものすごく簡単でないとセルフサーブ出来ない
- 「大手向けであれば柔軟性が高い」と大手から指摘された→3年目でセルフサーブを切った
- マーケティングの取り組み
- オフラインイベント
- 展示会=広い出会い
- カンファレンス=コアな出会い
- 偉い人を読んで集客をはかる
- 自社イベント、ヤプリサミット=ファン化
- 既存顧客、ターゲット顧客を招いてコミュニティをつくる
- 新機能や今後のロードマップを発表
- 製品や将来性に対して理解を深めてもらう
- ヤプリ大好きな人=ヤプラーを増やす
- 展示会等に向くサービス
- カスタマーサクセス
- 全社の文化にしたい。作って終わり、売って終わりではない。
- KPI管理するために専門の部署をつくった
- 社員全員で専門書を読み、顧客の全アプリをチェックし、サクセスプランをプレゼンしあった
壊れたこと
- 初期採用社員が辞めた=社員のカスタマーサクセスが出来ていなかった
- ヨップ:ヤプリオンボーディングプログラム
- 入社〜3ヶ月までの段取り、1on1のスケジュールまで採用チームが予め設計している
- プロダクト=プッシュ通知が壊れた
- 非エンジニア部門の周りにエンジニアを配置。QAを重視したことで劇的に改善した
これまでの振返りとこれから
- 0→1はとにかく手当たり次第
- 1→10は業務プロセスを分業化、科学することで達成
- 10→100はさらに細かく因数分解することが必要
Session02:高速インサイドセールスの立ち上げと拡大
登壇者
- 鈴木 淳一 株式会社セールスフォース・ドットコム インサイドセールス本部 コマーシャル事業部/スタートアップ戦略部 事業部長
- 工藤 慧亮 株式会社SmartHR 営業企画
スマートHR社SDRチーム(インサイドセールス)
- 2017年11月入社当時の課題
- 大量の新規リード
- 目標設定が出来ていない
- データがない、どこから何を着手すればよいかわからない
- 未来の流入予測
- TTTDDの目標から逆算し、必要なアポ数等を設定することから始めた
- 当時、一人あたりのリード数=300件 Salesforce=70〜80程度
- 課題解決の優先順位
- 案件化する割合の高い導線(LPからの問合せ)から優先的に対応
- Salesforce社の”TheModel”に従って、優先順位をつけていった
- SDRチームからSmartHRのカスタマーサクセスは始まっている
Salesforce社のノウハウ
- ”TheModel”
- Salesforceのトレーニング
- オンボーディングプラン
- 大学制=単位、必須科目があり、履修しないとステップアップ出来ない
- 電話のかけ方等は教えていない
- 顧客のことを理解し、顧客の立場で話す方法論
- 顧客のビジネスの話をヒアリングし、サービスの紹介は最後にする
- Salesforceを使うべきかどうか
- 早く成長したい会社であれば利用すべき
- セールスだけではなく、全社的にKPIの共有ができる
- 各部門のKPIが全社で可視化できているのであれば、Salesforceで無くてもよい
Session03 Deep Tech × SaaS のビジネス構築
登壇者
Deep TechをいかにSaaSにしたか
- 受託系R&Dからリカーリングにいかにつなげたか
- プライシングのロジック
- 実績を作ってからマネタイズするのが大事
- プライシングが大事、低く設定すると上げにくい
- LM
- マーケットを広めるためにやっているため、低めに設定
- 競合があまりいないため、啓蒙のためにも低くせざるをえない
- 今後は技術向上、付加価値をつけて値上げも検討
- Alpaca
- 価格に対してこだわりはあまりなかった
- Salesのコストをいかに低く抑えるか=マーケティングパートナーを選択
- エンジニア、研究者の採用方法
- LM
- 気合、ビジョンへの共感。10年後しに口説くこともある
- 採用、人が全て。90人程度の組織で採用担当は5名
- 最初の採用担当は、創業から1年後くらいにCOOを担当にした
- 人が一番大事。一番始めに採用担当を入れるべきだった
- 採用基準=頭が良くて性格が良い、どちらかというと性格重視
- 新卒採用がおすすめ。
- Alpaca
- Techサイドのポリシー=自分を超える可能性がある人しか採らない
- LM
- 組織を立ち上げる際の苦労
- LM
- 信頼関係をどう作っていくか
- 目標を明確にする、キャリアを考えてあげる
- ビジョンとそこまでの道筋をしっかりと握る
- Alpaca
- 情報をフルオープンにする。採用、資本政策、売上、等
- 個々人の強みをどう見つけて引き上げていくか
- LM
- 課題解決orTechどちらから始めるべきか?
- LM
- 課題ドリブンで始めた
- 機械によって人間の能力をどの様に拡張していけるか
- 社会的課題へのアプローチとしてTech企業を志向する人が増えると良いと思う
- Alpaca
- 始めはTechドリブン
- 金融機関は「そんなに必要ではない」というところから始まった
- 課題解決ができるようなプロダクトができるようになって、課題に目が向くようになった
- LM
Session04:CSとセールスがケンカをせず仲良く連携する方法
登壇者
- 河嶌 佐登志 Insider Japan株式会社
会社概要
- Marketing Tech
- セコイア・キャピタルから出資を受けている
アップセルが大事
- 既存顧客の継続より新規獲得の方が5〜25倍コストがかかる
- 既存顧客へのアップセルより新規獲得の方が4倍コストがかかる
- 既存顧客の60〜70%はアップセル可能
- 30%以上の売上はアップセルで獲得すべき
セールスとCSの役割
- セールスチームとCSチームはコインの裏表
- どちらも長期的に会社を成長させていく役目
- セールスの評価:業務速度、獲得率とクローズまでの時間
- CSの評価:エスカレーション率、解決までの時間、NPS
- セールス+CS=ユニット 共通の目標のもとで一つの組織として活動
- CSと営業が協力するメリット
- 高いLTV
- さらなるアップセル
- 顧客満足度の向上
- 良き顧客の紹介
- 高収益
- さらなる成長
- 協力のステップ
- 見込み顧客と既存顧客のセグメント定義
- セールスからCSへの引き渡しの手順を確立
- フィードバックループを作成
- 実行すべきアクションPOINT
- セールス
- スムーズな引き継ぎ
- 重要な会議へのCSの参加
- 営業活動中に詳細を記録し、CSへ情報を共有
- 顧客期待値を適切に管理する
- CS
- スケジュール化された資料を心がける
- 現状の成功顧客とともに見込み顧客へ接触する
- 重要な顧客体験を営業と共有し、営業の機動力とする
- アップセルの可能性の予測
- 1週間、セールスとCSチームを入れ替える
- セールス
- アップセルのベストプラクティス
- 質問をするー今の問題点を見つける
- 定期的なmtgにセールスも参加
- 新規提案にCSも参加
- アップセルの機会を見つける
- SBAs(SalesBusinessAnalysis)を設置
- 営業の重要指標をトラッキング、分析
- 行っている定期的なmtg
Session05:IPO後も高成長を続けるSaaSプロダクトと組織
登壇者
- 佐久間 衡 ユーザベースグループFORCAS代表取締役
プロダクトと組織
- プロダクト:市場を拡張するか、市場を創造するか。市場を創造することが大事
- 2013年の失敗=システムの内製化を目指したこと
- Salesforce導入を提案するも、内製化スべきとの反対にあい、導入しなかった
- 結果、社内で開発したシステムは使われなかった
- 社内開発システムはすぐに陳腐化する
- SaaSの一番のボトルネックは常に開発リソース
- 他社SaaSを徹底的に活用し、自社プロダクトの開発に集中すべき
- BtoBプロダクト開発の要点
- カンパニー制の導入
- 同じユーザーを見るたての組織をつくる
- ユーザーの属性が複雑になると「優先順位」で物事を考えるようになり、現場で意思決定できない
- 現場で意思決定出来ないとスピーディーに良いプロダクトをつくることが出来ない
- 全てのチームとユーザーとの一次接点を増やす
- OKRと相性が良かった
Q&A
- エンタープライズに向かうべきだとは思わないか?
- スタートアップはスピードを最優先にすべき
- ベースコンセプトのプロダクトマーケットフィットのスピードを上げるためには、顧客からのフィードバックを早く得られた方がよい
- そのためにエンタープライズが最適だとは考えない
- やることが多いがどの様に優先順位をつけているか
- 小さな独占の連続
- 小さな市場を独占するため、ストーリーとターゲット顧客を決める
- CSと開発で課題解決を達成し、数字で説明できる価値を提供する
- ユーザー課題のセグメンテーションとLTV分析で攻める市場を特定する
- 小さな課題をデジタルフラグ化し、具体的な企業名まで落とし込む(ターゲティング)
- プロダクトをつくる判断基準
- タッチポイントを増やしてARPUを上げる
- 小さな独占の連続
Session06:SaaS事業の収益を倍増するカスタマーサクセス
登壇者
カスタマーサクセスが生み出す収益インパクト
- Revenue churn5%と-2.5%では5年間で5.5倍の差
- ランド&エクスパンドモデル:一つの部署での導入から他部署、全社へつなげていく
カスタマーサクセスの始め方
- Bessemer:許容チャーンレートは年間5−7%(月次で0.42−0.58%)
- どういう人をカスタマーサクセス担当にするべきか
- カスタマーサクセスチームが出来たらやること
- 顧客個別の利用状況を可視化=チャーン、アップセルの可能性の可視化
- ログイン率
- 主要機能の利用状況、できればライフサイクル別に把握できると理想
- ライセンスの有効化率
- オンボーディングのテコ入れ=チャーンにつながる最も大きな理由はオンボーディングの失敗
- プロセスの見直し
- Time to Valueの最短化
- Customer Effortの最小化
- カスタマーサクセスのKPIはチャーンだと言われるが、チャーン自体の数字を追っても意味がない。チャーンにつながるまでの顧客の状況を把握する必要がある。とにかく顧客の所に訪問していた
- 当初はTechタッチでヘルススコアを作っていたが、訪問して見たら違うことが多々有った
- 顧客個別の利用状況を可視化=チャーン、アップセルの可能性の可視化
- ヘルススコアの考え方(ビズリーチ)
- 「顧客ステージ」を分類
- 既存顧客のステージをピラミッド型に整理
- 利用指標、接点、評価などを複合的に捉えてロイヤリティを可視化
- 施策に対する反応と顧客の継続率を分析し、想定継続率に応じて4つの段階に分類
- Customerサクセス部の体制(ビズリーチ)
- Support&Community:サポートデスク、顧客全体施策
- Onboarding:3ヶ月以内のアクティブ化
- User Success:顧客のロイヤリティ化
- 共通業務:担当顧客対応(訪問、業務改善提案、継続提案)
- やってよかったこと
- ロイヤルカスタマーがどの様なプロセスでロイヤルになったか、ノウハウの共有
- 開発メンバーに対して、顧客の反応をFBすること
読書履歴:大型商談を成約に導く「SPIN」営業術
3行でまとめ
- 商談に何ヶ月も期間を要する様な「大型商談」には、小型商談に用いられ、数多のビジネス書で述べられているようなセールステクニックは通用せず、むしろ逆効果な場合も存在する
- 大型商談にテクニックが通用しないのは、商談の目的が大型商談と小型商談とで異なるためで、小型商談は「受注」と「不成立」の2つしかない(短期間・少額・少人数の意思決定で済む)のに比べ、大型商談では「受注」「進展」「継続」「不成立」の4つの目的が存在し、大半の商談が、顧客の潜在ニーズを発見し顕在ニーズへと育て、約束を取り付けるプロセス(=「進展」)に割かれるためである
- 大型商談には、①予備段階 ②調査段階 ③解決能力を示す段階 ④約束を取り付ける段階 の4つの段階が存在し、それぞれの段階を次に進めるために、4つの質問「状況質問(Situation)見込客の現状に関する事実を見つけ出す質問」「問題質問(Problem)見込客の抱える問題点や支障、不満に関する質問」「示唆質問(Implication)見込客が抱える問題の与える影響や結果等に関する質問」「解決質問(Need-payoff)見込客から提案された解決策の価値や効用に関する質問」=「SPIN」をうまく使い分ける必要がある。
読後感想
営業に関するビジネス書は、どこかのトップセールスの成功体験をまとめた、そのセールスパーソンと同じ状況で無い限りほぼ共感出来ないタイプのモノが多くて、正直あまり好きでは無かったが、本書は大型商談を行う多くの企業との統計的な調査を元にした体系的なノウハウがまとめられており、そう言った意味で多くのセールス本と一線を画す。
本書の内容は、大型商談を行っている営業だけではなく、顧客との長期的な関係を構築しLTVを最大化したいカスタマーサクセス職、他社との業務提携交渉を行う事業開発、等の職種でも活かせるのではないかと思う。