Japan Customer Success Community(JCSC)#6 に行ってきた

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カスタマーサクセスの第一人者による、ナレッジ共有イベント、Japan Customer Success Community(JCSC) #6「 俺たちの屍(失敗)を越えていけ!!~カスタマーサクセス、実はこんなこと失敗してきました!~」に行って来ました。タイトル長い。

イベント概要

  • 日時:2018/12/21 (金)  19:00 - 21:30 JST
  • 場所: ウイングアーク1st株式会社( 港区六本木3丁目 2番1号 六本木グランドタワー 35F)

※会場のウィングアーク1st社では、こんなkのイベントの様に社内スペースの貸出(?)もしているらしい。超・素敵なオフィスでした。

カスタマーサクセスに挑戦する人を応援するコミュニティ”Japan Customer Success Community”による忘年会的企画。普段は一度につき1社の登壇に限定しているのを、年末企画としてこれまで登壇した5社が”失敗談”をパネルディスカッション形式で語るスペシャル企画。

登壇者

  • Sansan株式会社 田中 二郎
  • HiCustomer株式会社 高橋 歩
  • 株式会社ビズリーチ 鈴木 雄太
  • ベルフェイス株式会社 小林 昭宏
  • 弁護士ドットコム株式会社 岩熊 勇斗
  • ベルフェイス株式会社 小林 泰己(モデレーター)

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登壇者の皆様。開始時点で既にアルコール注入済み。

テーマ1:顧客情報管理

  • クラウドサイン
    • 様々な顧客情報の在り処が社内に散在していた
    • 売上情報、ヘルススコアが散在していてデータ分析が適切に出来ない
    • クラウドサイン=1契約あたり@100円のため、顧客の数だけ料金パターンがあるようなもの
    • スケールする前にやるべきだった
    • zuoraを導入し、MRRがすぐに出てくるようになった
    • 金額を算出するための情報は一箇所にまとめて置くべき
    • zuoraを入れなくても出来る管理は無いのか?→ズオラーである必要は無いが、スプレットシート管理は早くやめるべき
  • Sansan
    • 最近Salesforceにまとめるようになった
    • もっと早くやるべきだった
    • 一番困ったのは、過去のプラン変更等の変化のポイントが蓄積されておらず、現状なぜこうなっているかがわからなかったこと
  • ビズリーチ
    • はじめから顧客情報をまとめておくことは現実的に可能なのか?
    • 情報をショットで取るべきなのか履歴で取るべきなのか、管理方法で変わるのでは?

顧客の情報、履歴を一箇所にまとめておかないと、将来振り返った際に「変化のポイント」がわからなくなる、というのはなるほど、と思った。ただ、顧客の情報が散在する状況って必要な情報を必要なタイミングでショットで取っていたものが蓄積された結果生まれやすい気がしていて(経験的に)、根本的な原因は、KPIが設計されていないこと、ストックすべき顧客の情報が定義されていないことなのでは無いだろうか。

テーマ2:再現性

  • ベルフェイス
    • 顧客の中に入り込むことを重視していたが、その水準の仕事が出来る人はベンチャーでは採用出来ず、スケールしないことに気づいた
    • 誰でも出来るサービスレベルに落とし込むことが大事なのでは
  • Sansan
    • 体制が整ってよかったこと=再現性を高めるための仕組みづくりが出来るようになったこと
    • オンボーディングセミナーで顧客のモチベーションを高めることが出来、再現性を高めることが出来た
  • HiCustomer
    • 始める前からサービスレベルは下げるべきではない
    • 色々やってみてからちょうどいいレベル感に落として行くべき

業務が属人化するとその人が処理しきれる仕事の総量で事業のトップラインが決まってしまう=スケールしないのはそうだと思うものの、立ち上がりのフェーズにおいては「この人に聞けば良い」的な全部把握できてる一人に集約させ、まずはその人の業務の効率化・サービスレベルの均質化を図った上で横展開出来る体制を整えた方が良い気がする。調達や事業のフェーズによって何とも言えない課題なのでは。何もやってない時点から将来の事、汎用的な仕組みを考えてやろうとしてもおうおうにして絵に描いた餅になりがち。形から入るのでは無く発散したものを型にはめて行くほうが一見遠回りに見えて課題感がはっきりしている分早く標準化しやすい様に感じる。あと、何も出来上がって無い状態で「標準化」とか言う人見るとシンプルにいらっとする。笑。四の五の言わずに手を動かせよ、と。

テーマ3:忖度

  • HiCustomer
    • 顧客がプロダクト側に忖度して言ってくることと、利用の実態とが異なることがある。KPI等を元に事実はどうなのかを見る必要がある
    • 顧客の忙しさ等に忖度してしまい、コミュニケーションを控えてしまうことがある
  • ビズリーチ
    • 社内外に遠慮せず、ありのままの情報を伝えるべき
    • 開発部門にカスタマーサクセス担当がジョインしている

うーん、これはちょっとピンと来なかったTopicsなので割愛。

テーマ4:ユーザー会

  • ビズリーチ
    • ユーザー会の失敗:エンジニアを呼ぶもののうまく巻き込めない
    • 顧客の声を聞いて貰うため、ユーザー会にエンジニアを呼んでみたものの、懇親会等でうまく顧客と絡めなかった→エンジニアがユーザー会に来づらくなった
    • ユーザー会は4種類実施、ユーザー会ごとに来るユーザーの属性は異なる。月に1〜2回実施
      • 活用方法の説明会
      • ユーザーに事例を話してもらう会
      • 外部から講師を呼ぶ会
      • 飲み会
    • 新規参加者が多い順に、飲み会>活用方法>外部講師>ユーザー事例
    • 集客数は、活用方法・外部講師が多く、飲み会はボリュームが取れない
    • 告知方法は以前はターゲティングして告知していたが、あまり意味が無かったため、メール&KARTEで一斉告知している

ユーザー会を行った経験が無いため何とも言いにくいものの、ユーザー会を月に1〜2回やっててそれだけの集客ができてる、それだけの母集団が存在するのは凄いな、と感じた次第。それだけやってたら集客チャネルとか参加者の属性分析とかするよね、と。

テーマ5:戦略

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Sansan社投影資料
* Sansan * 戦略なき戦術は自己満足 * 色々やってみたが、全体の戦略=どこを目指しているのか、が無かった、施策間のつながりが無かった * 施策全体のつながりを考える為にCustomerSuccess部門を作った * CustomerSuccess組織:RenewalSales、CSM、CustomerMarketingの3部門
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Sansan社カスタマーサクセス組織図
* 方向性がないまま手探りで色々施策をやってもうまくいかない * 何を目指すべきかを明確にした * どの様に旗を振ったのか→関係者ごとにメリットを提示した * 全体で300名を超えたあたりで全社の調整役の事業企画的な部門が立ち上がった * ベルフェイス * Customerジャーニー的なコンセプト、ストーリーが無いまま施策だけやり続けるのはしんどい * ビズリーチ * 戦略は有ったほうが良いが、戦術だけで動くのも意外とメリットが有る * CSのプレゼンスを上げる意味では戦術だけで動くのも悪くない、やってみて当たる施策もある * 戦略を考えようとして動けなくなるよりは、動けるところから動いた方が良い * CSが営業協力で同行等をしていた→営業からCSの存在が感謝されるようになった * クラウドサイン * 社内でのCSのプレゼンスを上げるには、CSのトップが突き抜け得た存在であるべき * いきなり”突き抜けた存在”になるのが難しい場合は、”〇〇な人”を目指すところから始めるのがちょうど良い。例えば、”お客さんのことを一番わかっている人”、など

一番考えさせられたトピックス。テーマのスライドが一瞬で切り替えられてしまったので、「戦略」じゃなかったかもしれない。どこに向かって走ったら良いかわからなければKPIの立てようも無いし迷走する、けど、考え過ぎてしまうと足が止まって身動きが取れなくなる。プロダクトのフェーズ、タイミングの問題な気もする。”◯◯な人”を目指す、という表現は非常にわかりやすくて腹落ちした。それなら自分にも落とし込める。一方で、そこを突き詰めすぎると前出の”属人化”の問題が出てくる。やっぱりタイミングの問題か。

Q&A

  • クライアントの担当者が1名しかおらず、担当者が離職・異動してしまい、解約につながるパターンがある。それを防ぐにはどうしたらよいか?
    • BtoBの場合は意思決定が点ではなく、上位者も含めた面で行われているはず
    • 決済者まで含めたアプローチが必要。
    • クライアントの社内の役割を始めから把握しておく。
    • HiCustomer、SansanではProject開始時、導入時に役割(プロジェクト推進者、決済者、等)のリストをクライアントに埋めてもらう様にしている
    • ベルフェイスでは”スター”の管理はSalesforceで行っている。導入時に決済者等からヒアリングして設定しているが、利用状況やメールの返信状況等のヘルススコア情報を元に定期的に見直している
  • 各社でのカスタマーSuccessの業務範囲とは?
  • スケール化、再現性を実現させるためにサービスレベルを落とした具体的なケース
    • ベルフェイス:マニュアル化出来るかどうかで判断している。マニュアル化出来ない仕事はエキスパートチームに丸投げするようにした
  • KPIとその取得方法、運用体制
    • クラウドサイン:オンボーディング率→ユーザーに達成したかどうかヒアリング
    • ビズリーチ:ヘルススコア、タッチポイント→分析チームが活躍
  • MAツールの利用状況
    • ベルフェイス:タッチの種類による、MAツールで出来るのは広く薄く広めること
    • ハイタッチで得た知見をMAツールで広める、組み合わせるのが良さそう
  • CS立ち上げで何から始めるべきか
    • Sansan:一人の顧客を幸せにするために何が出来るか、目の前の顧客に会いに行く
    • HiCustomer:顧客に会いに行く
    • ビズリーチ:何かの施策をやりまくる。顧客の為になると思うことをとにかくやってみてわかることがある
    • クラウドサイン:オンボーディングが全てだと思う

Q&Aで取り上げられていた質問をみるに何となく「カスタマーサクセスって何したら正解なの?」という参加者が多かったのかもしれない。でもそれって絶対答えは無いと思っていて、「カスタマーサクセス」が今年に入ってバズった言葉で何となく皆必要性を感じてるけどわかったようなわかっていないような感じで答えを求めてるだけであって、「◯◯って何したら正解なの?」の◯◯の部分に他の職種、例えば、社長とかBizDevとかマーケターとか営業とか入れても結果は同じで、どこの会社・プロダクトにも当てはまる答え、仕事の内容なんて無いはず。”カスタマーサクセス”で結果を出している人たちがこれだけナレッジを共有してくれているんだから、エッセンスを学び咀嚼して、自分たちならではの”カスタマーサクセス”を作って行くしかないなー、と、感じました。