読書履歴:大型商談を成約に導く「SPIN」営業術

3行でまとめ

  • 商談に何ヶ月も期間を要する様な「大型商談」には、小型商談に用いられ、数多のビジネス書で述べられているようなセールステクニックは通用せず、むしろ逆効果な場合も存在する
  • 大型商談にテクニックが通用しないのは、商談の目的が大型商談と小型商談とで異なるためで、小型商談は「受注」と「不成立」の2つしかない(短期間・少額・少人数の意思決定で済む)のに比べ、大型商談では「受注」「進展」「継続」「不成立」の4つの目的が存在し、大半の商談が、顧客の潜在ニーズを発見し顕在ニーズへと育て、約束を取り付けるプロセス(=「進展」)に割かれるためである
  • 大型商談には、①予備段階 ②調査段階 ③解決能力を示す段階 ④約束を取り付ける段階 の4つの段階が存在し、それぞれの段階を次に進めるために、4つの質問「状況質問(Situation)見込客の現状に関する事実を見つけ出す質問」「問題質問(Problem)見込客の抱える問題点や支障、不満に関する質問」「示唆質問(Implication)見込客が抱える問題の与える影響や結果等に関する質問」「解決質問(Need-payoff)見込客から提案された解決策の価値や効用に関する質問」=「SPIN」をうまく使い分ける必要がある。

    読後感想

    営業に関するビジネス書は、どこかのトップセールスの成功体験をまとめた、そのセールスパーソンと同じ状況で無い限りほぼ共感出来ないタイプのモノが多くて、正直あまり好きでは無かったが、本書は大型商談を行う多くの企業との統計的な調査を元にした体系的なノウハウがまとめられており、そう言った意味で多くのセールス本と一線を画す。
    本書の内容は、大型商談を行っている営業だけではなく、顧客との長期的な関係を構築しLTVを最大化したいカスタマーサクセス職、他社との業務提携交渉を行う事業開発、等の職種でも活かせるのではないかと思う。