「SaaS Conference TOKYO 2018」に行ってきた

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概要

2018/11/02(金)に行われた、"SaaS Conference TOKYO 2018"に参加して来たのでメモをUPします。

SaaS Conference TOKYO – ARR 0から100億円まで。SaaSスタートアップの成長方法

Session01:3年連続300%像のSaaS企業のHardThings

登壇者

0→1のフェーズ

  • 始め3年はきつかった
  • SaaSは2パターン、バーティカルか、ホリゾンタルか→ヤプリはホリゾンタル
    • 対象業界がどこかわからなかった
    • 顧客の企業サイズがわからなかった(スモールビジネスを対象に始めた)
  • 始めはアプリ1個1万円、オンラインセールスで売っていた
    • ゲーム攻略系の会社がファーストユーザー=対象の会社がほぼ無い
    • 株主からの紹介で、音楽業界の会社に提供、音楽機能をつけた→使われなかった
    • 最後にあたったのはファッション業界(たまたま)
      • アプリかライン@か迷っていた
      • クーポンの要望が有った→作った→あたった
      • 初めて費用対効果が見えた
  • 何をやっていたらもっと早くPMFにたどり着けていたか?
    • 対象の市場がどこまで広がるかを見る必要がある

プロダクトの売り方、マーケティング施策

  • カスタマイズ要望、優先順位の付け方
    • プロダクトのロードマップを敷いてある
    • ロードマップ上に有るか、金を払ってもらえるか、複数社にニーズがあるか、から複合的に判断
  • SaaS≠セルフサーブ
    • スモールビジネスはものすごく簡単でないとセルフサーブ出来ない
    • 「大手向けであれば柔軟性が高い」と大手から指摘された→3年目でセルフサーブを切った
  • マーケティングの取り組み
    • オンラインセールスを辞めたタイミングで料金表を非開示にした
    • 料金表に引きずられず、サービス内容で価格設定ができるようになった
    • イベントを中心としたオフラインセールスに切り替えた
    • 7割の顧客がマーケティング用途としてアプリを利用。マーケティング系のイベントに出展
  • オフラインイベント
    • 展示会=広い出会い
      • リード獲得:コンパニオンが呼び込み、通路に向けてセミナーを実施
      • インサイドセールス:営業社員がブース内で実施
      • ブース内に回収した名刺のステータスに応じて仕分けができる様に箱が用意されている
      • 次の日にはインサイドセールスが荷電できるようになっている
      • 一回の出展で800万程度かかる、一つ一つの施策でも費用対効果は見てはいるが、CACが釣り合っているのであれば積極的に出展する
    • カンファレンス=コアな出会い
      • 偉い人を読んで集客をはかる
    • 自社イベント、ヤプリサミット=ファン化
      • 既存顧客、ターゲット顧客を招いてコミュニティをつくる
      • 新機能や今後のロードマップを発表
      • 製品や将来性に対して理解を深めてもらう
      • ヤプリ大好きな人=ヤプラーを増やす
  • 展示会等に向くサービス
  • カスタマーサクセス
    • 全社の文化にしたい。作って終わり、売って終わりではない。
    • KPI管理するために専門の部署をつくった
    • 社員全員で専門書を読み、顧客の全アプリをチェックし、サクセスプランをプレゼンしあった

壊れたこと

  • 初期採用社員が辞めた=社員のカスタマーサクセスが出来ていなかった
    • ヨップ:ヤプリオンボーディングプログラム
    • 入社〜3ヶ月までの段取り、1on1のスケジュールまで採用チームが予め設計している
  • プロダクト=プッシュ通知が壊れた
    • 非エンジニア部門の周りにエンジニアを配置。QAを重視したことで劇的に改善した

これまでの振返りとこれから

  • 0→1はとにかく手当たり次第
  • 1→10は業務プロセスを分業化、科学することで達成
  • 10→100はさらに細かく因数分解することが必要

Session02:高速インサイドセールスの立ち上げと拡大

登壇者

スマートHR社SDRチーム(インサイドセールス)

  • 2017年11月入社当時の課題
    • 大量の新規リード
    • 目標設定が出来ていない
    • データがない、どこから何を着手すればよいかわからない
    • 未来の流入予測
  • TTTDDの目標から逆算し、必要なアポ数等を設定することから始めた
  • 当時、一人あたりのリード数=300件 Salesforce=70〜80程度
  • 課題解決の優先順位
    • 案件化する割合の高い導線(LPからの問合せ)から優先的に対応
    • Salesforce社の”TheModel”に従って、優先順位をつけていった
  • SDRチームからSmartHRのカスタマーサクセスは始まっている

Salesforce社のノウハウ

  • ”TheModel”
    • SaaSであればやったほうが良いセオリー
    • マーケティングインサイドセールス、外勤営業、カスタマーサクセスを完全に分業化
    • 各部門のKPIがKPIが事業拡大に直結する
    • インサイドセールス組織の作り方
      • インサイドセールスチームの結成
        • 適正、経験のある人材の採用、組織体制の構築
      • 営業部門との合意
      • 自部門のKPIの設定
        • 案件創出までのステップ、施策、評価指標の設定
      • キャリアプランの策定
        • 人材の採用、必要スキル、昇進条件など
      • 他部門との情報共有ツールの運営
        • MA、SFA、BIなど
      • 見込客データの名寄せ
        • 基幹システム、展示会リスト、名刺、失注案件、等
      • 担当者、マネージャーの教育、トレーニン
  • Salesforceのトレーニン
    • オンボーディングプラン
    • 大学制=単位、必須科目があり、履修しないとステップアップ出来ない
    • 電話のかけ方等は教えていない
    • 顧客のことを理解し、顧客の立場で話す方法論
      • 顧客のビジネスの話をヒアリングし、サービスの紹介は最後にする
  • Salesforceを使うべきかどうか
    • 早く成長したい会社であれば利用すべき
    • セールスだけではなく、全社的にKPIの共有ができる
    • 各部門のKPIが全社で可視化できているのであれば、Salesforceで無くてもよい

Session03 Deep Tech × SaaS のビジネス構築

登壇者

Deep TechをいかにSaaSにしたか

  • 受託系R&Dからリカーリングにいかにつなげたか
    • LM
      • コア技術が何なのかを見つける旅→自分たちの自己満足に陥りがち
      • 顧客のペインに対していかにプロダクトが寄り添えるか、それを見つけられるか
      • 顧客とのPDCAをいかに高速に回せるか
      • 一口に「金融」と言っても、時間軸、プロダクト、顧客の儲け方、切り口によっても無限通り存在する
    • Alpaca
      • DeepTechはSaaSをやらなくても儲かる、SaaSからDeepTechは有りうる
      • AIをデリバーする一つとしてSaaSを選んだ
      • スイッチングコストが高い、顧客単価が高く取れる
      • 自分たちで研究投資した結果、出来なかった企業の受け皿として機能している
  • プライシングのロジック
    • 実績を作ってからマネタイズするのが大事
    • プライシングが大事、低く設定すると上げにくい
    • LM
      • マーケットを広めるためにやっているため、低めに設定
      • 競合があまりいないため、啓蒙のためにも低くせざるをえない
      • 今後は技術向上、付加価値をつけて値上げも検討
    • Alpaca
      • 価格に対してこだわりはあまりなかった
      • Salesのコストをいかに低く抑えるか=マーケティングパートナーを選択
  • エンジニア、研究者の採用方法
    • LM
      • 気合、ビジョンへの共感。10年後しに口説くこともある
      • 採用、人が全て。90人程度の組織で採用担当は5名
      • 最初の採用担当は、創業から1年後くらいにCOOを担当にした
      • 人が一番大事。一番始めに採用担当を入れるべきだった
      • 採用基準=頭が良くて性格が良い、どちらかというと性格重視
      • 新卒採用がおすすめ。
    • Alpaca
      • Techサイドのポリシー=自分を超える可能性がある人しか採らない
  • 組織を立ち上げる際の苦労
    • LM
      • 信頼関係をどう作っていくか
      • 目標を明確にする、キャリアを考えてあげる
      • ビジョンとそこまでの道筋をしっかりと握る
    • Alpaca
      • 情報をフルオープンにする。採用、資本政策、売上、等
      • 個々人の強みをどう見つけて引き上げていくか
  • 課題解決orTechどちらから始めるべきか?
    • LM
      • 課題ドリブンで始めた
      • 機械によって人間の能力をどの様に拡張していけるか
      • 社会的課題へのアプローチとしてTech企業を志向する人が増えると良いと思う
    • Alpaca
      • 始めはTechドリブン
      • 金融機関は「そんなに必要ではない」というところから始まった
      • 課題解決ができるようなプロダクトができるようになって、課題に目が向くようになった

Session04:CSとセールスがケンカをせず仲良く連携する方法

登壇者

  • 河嶌 佐登志 Insider Japan株式会社

会社概要

アップセルが大事

  • 既存顧客の継続より新規獲得の方が5〜25倍コストがかかる
  • 既存顧客へのアップセルより新規獲得の方が4倍コストがかかる
  • 既存顧客の60〜70%はアップセル可能
  • 30%以上の売上はアップセルで獲得すべき

セールスとCSの役割

  • セールスチームとCSチームはコインの裏表
    • どちらも長期的に会社を成長させていく役目
    • セールスの評価:業務速度、獲得率とクローズまでの時間
    • CSの評価:エスカレーション率、解決までの時間、NPS
    • セールス+CS=ユニット 共通の目標のもとで一つの組織として活動
  • CSと営業が協力するメリット
    • 高いLTV
    • さらなるアップセル
    • 顧客満足度の向上
    • 良き顧客の紹介
    • 高収益
    • さらなる成長
  • 協力のステップ
    • 見込み顧客と既存顧客のセグメント定義
    • セールスからCSへの引き渡しの手順を確立
    • フィードバックループを作成
  • 実行すべきアクションPOINT
    • セールス
      • スムーズな引き継ぎ
      • 重要な会議へのCSの参加
      • 営業活動中に詳細を記録し、CSへ情報を共有
      • 顧客期待値を適切に管理する
    • CS
      • スケジュール化された資料を心がける
      • 現状の成功顧客とともに見込み顧客へ接触する
      • 重要な顧客体験を営業と共有し、営業の機動力とする
      • アップセルの可能性の予測
    • 1週間、セールスとCSチームを入れ替える
  • アップセルのベストプラクティス
    • 質問をするー今の問題点を見つける
    • 定期的なmtgにセールスも参加
    • 新規提案にCSも参加
  • アップセルの機会を見つける
    • 毎日もしくは週次のMTGskype)を実施
    • CSをただの窓口にするのではなく、クライアントのコンサルにする
  • SBAs(SalesBusinessAnalysis)を設置
  • 行っている定期的なmtg
    1. 営業パイプラインmtg
    2. 週次の営業見込mtg、quarterly mtg
    3. アップセルパイプラインmtg
    4. 解約理由発見mtg

Session05:IPO後も高成長を続けるSaaSプロダクトと組織

登壇者

プロダクトと組織

  • プロダクト:市場を拡張するか、市場を創造するか。市場を創造することが大事
  • 2013年の失敗=システムの内製化を目指したこと
    • Salesforce導入を提案するも、内製化スべきとの反対にあい、導入しなかった
    • 結果、社内で開発したシステムは使われなかった
    • 社内開発システムはすぐに陳腐化する
    • SaaSの一番のボトルネックは常に開発リソース
    • 他社SaaSを徹底的に活用し、自社プロダクトの開発に集中すべき
  • BtoBプロダクト開発の要点
    • 80%のユースケースを最もシンプルなUIで実現する
      • ユースケースを平等に扱わない
      • ファーストページで70〜80%
      • 2ページ目で90%、3ページ目で100%を抑えられれば良い
      • 発生頻度の低いユースケースには何クリックさせても良い
      • プリセットを活用し、数ステップを1ステップにまとめる
    • ユーザー課題×LTV
      • 縦軸=成長率×横軸=継続率
    • ユーザーファーストではなく、ファーストユーザーとして既存プロダクトを使う
      • 誰よりも自分が欲しいプロダクトになっているか
      • 自分の感覚を信じ抜く
  • カンパニー制の導入
    • 同じユーザーを見るたての組織をつくる
    • ユーザーの属性が複雑になると「優先順位」で物事を考えるようになり、現場で意思決定できない
    • 現場で意思決定出来ないとスピーディーに良いプロダクトをつくることが出来ない
    • 全てのチームとユーザーとの一次接点を増やす
    • OKRと相性が良かった

Q&A

  • エンタープライズに向かうべきだとは思わないか?
    • スタートアップはスピードを最優先にすべき
    • ベースコンセプトのプロダクトマーケットフィットのスピードを上げるためには、顧客からのフィードバックを早く得られた方がよい
    • そのためにエンタープライズが最適だとは考えない
  • やることが多いがどの様に優先順位をつけているか
    • 小さな独占の連続
      • 小さな市場を独占するため、ストーリーとターゲット顧客を決める
      • CSと開発で課題解決を達成し、数字で説明できる価値を提供する
      • ユーザー課題のセグメンテーションとLTV分析で攻める市場を特定する
      • 小さな課題をデジタルフラグ化し、具体的な企業名まで落とし込む(ターゲティング)
    • プロダクトをつくる判断基準
      • タッチポイントを増やしてARPUを上げる

Session06:SaaS事業の収益を倍増するカスタマーサクセス

登壇者

  • 鈴木 雄太 株式会社ビズリーチ HRMOS採用管理事業部カスタマーサクセス部 部長
  • 鈴木 大貴 HiCustomer株式会社 代表取締役

カスタマーサクセスが生み出す収益インパク

  • Revenue churn5%と-2.5%では5年間で5.5倍の差
  • ランド&エクスパンドモデル:一つの部署での導入から他部署、全社へつなげていく

カスタマーサクセスの始め方

  • Bessemer:許容チャーンレートは年間5−7%(月次で0.42−0.58%)
  • どういう人をカスタマーサクセス担当にするべきか
  • カスタマーサクセスチームが出来たらやること
    • 顧客個別の利用状況を可視化=チャーン、アップセルの可能性の可視化
      • ログイン率
      • 主要機能の利用状況、できればライフサイクル別に把握できると理想
      • ライセンスの有効化率
    • オンボーディングのテコ入れ=チャーンにつながる最も大きな理由はオンボーディングの失敗
      • プロセスの見直し
      • Time to Valueの最短化
      • Customer Effortの最小化
    • カスタマーサクセスのKPIはチャーンだと言われるが、チャーン自体の数字を追っても意味がない。チャーンにつながるまでの顧客の状況を把握する必要がある。とにかく顧客の所に訪問していた
    • 当初はTechタッチでヘルススコアを作っていたが、訪問して見たら違うことが多々有った
  • ヘルススコアの考え方(ビズリーチ
    • 「顧客ステージ」を分類
    • 既存顧客のステージをピラミッド型に整理
    • 利用指標、接点、評価などを複合的に捉えてロイヤリティを可視化
    • 施策に対する反応と顧客の継続率を分析し、想定継続率に応じて4つの段階に分類
  • Customerサクセス部の体制(ビズリーチ
    • Support&Community:サポートデスク、顧客全体施策
    • Onboarding:3ヶ月以内のアクティブ化
    • User Success:顧客のロイヤリティ化
    • 共通業務:担当顧客対応(訪問、業務改善提案、継続提案)
  • やってよかったこと
    • ロイヤルカスタマーがどの様なプロセスでロイヤルになったか、ノウハウの共有
    • 開発メンバーに対して、顧客の反応をFBすること