「SmartHR × FORCAS SaaS Career Night vol.2 」に行ってきた
UZABASE社主催のイベント『SmartHR × FORCAS SaaS Career Night vol.2 「バリューにもとづいたSaaS Sales Teamづくりとは?」』に行ってきたのでレポートします。
概要
最近、SaaS関連のイベントで目にする機会の多い、FOCAS社・SmartHR社が、どのようにバリューの浸透をさせ、圧倒的な成長をするSalesチームをつくっているのか。カスタマーサクセスの話を聞くことは有っても、Sales組織についての話はなかなか聞ける機会が無かったので行ってきました。
発表メモ
開会の挨拶
- 株式会社FOCAS 代表取締役 佐久間 衡
- FOCASは(数字は出せないが)めっちゃ伸びてるから仲間がほしい
- 大事にしていること「本音でつながる」
- 採用基準
- とことんオープンで本音ベースのコミュニケーションができること
- 未来のマーケティングをユーザーと共創するというビジョンへの共感
- 現職での圧倒的な実績
LT① 海外ユニコーンSaaS企業と同じスピードで成長するSmartHRの営業組織
登壇者
- 株式会社SmartHR 営業企画 工藤 慧亮
SaaSの特徴
- 1つのプロダクトを数多くの顧客が使う
- 開発リソースを有効活用できる
- スピーディーなサービス提供が行える
- 価格を抑えやすい、安価に提供できる
- 売上がどんどん積み上がっていく
- 毎月0から売上を積み上げるのではない
- 営業に余裕が持てる
- 先に損をして後で得をするモデル
- プロダクトめちゃくちゃ大事
- 売り切り営業とSaaS営業の違い
- 売り切りの営業:製品力が低くとも、売り方を工夫して受注できるのが良い営業
- SaaSの営業:無理やり売らず、製品にFBして製品力を高められるのが良い営業
SmartHRについて
- 利用企業1.8万社
- 解約率0.2%
- 海外ユニコーンSaaS企業との比較:twilio、box、shopifyと同じ位の成長率
組織について
- 社員82名(エンジニア・PM20名、営業20名)
- 平均年齢:21.3再
営業チームの変遷
- 2016年11月=営業2名、CS1名
- 現在=フィールドセールス7名、インサイドセールス3名、SDR8名
SmartHRの良いところ
- プロダクトチームが営業、CSの要望に応えてくれる
- やるやらない、その理由を明確にFBしてくれる
- ユーザーから求められている
- 人事労務=アナログでユーザーは困っていたが、ソリューションが全くなかった
- 顧客からの反応がよく、やりがいを感じられる
- 長期的に大きくなるビジネス
- チャーンレート・良いとされる数値=2%その10分の1
- 将来的にプラットフォーム化も考えている
- セオリーをセオリーどおりにやる
- チャーンレートを下げる可能性がある場合、無理に売らない。
- 顧客から引き合いが有っても断ることもある。
会社が抱える課題
- ビジネスも順調でいい会社
- やりたいことに対してリソースが全く足りていない
- 現在の「そこそこ良いSaaS」から「歴史に残るプロダクト&事業」にしたい
LT② SaaS業界で最速成長を目指すFORCASセールスチームが大切にしていること
登壇者
- 株式会社FORCAS 執行役員 COO 田口槙吾
FORCASの紹介
- Uzabase社の新規事業としてリリース
- 未来のマーケティングを創造し、世界の進化を加速する
- ユーザーとの共創にコミットしている
- BtoBマーケティングであるABMに特化したマーケティングプラットフォーム
- ターゲットリスト作成の自動化
- 営業ターゲットが幅広いビジネスモデル、BtoB企業での導入が多い
- Revenueチームの変遷
採用方針、価値観
- CompetencyはExecution/Edge/Valueの3軸で測る
- 採用の3つの誓い
- バリュー、ミッション、スキルの順番
- バリューフィットしない人はどんなにハイスキルでも採用しない
- 自分を超えそうな人を採る
- 合否決定を他責にしない
- バリュー、ミッション、スキルの順番
- 7つのルール https://www.uzabase.com/company/seven-rules/
- 社員数が30名を超えた頃に、内部崩壊しかけた際に作ったルール
- ルール① 自由主義で行こう
- 自分なりのベストな環境を自由に創る
- スーパーフレックス(出社義務なし、服装自由、リモート自由)
- 自分らしい人生を設計(ロングバケーション制度、自由研究制度、副業自由)
- 自由と評価、責任が紐付いていることが特徴
- 評価基準、タイトルがフルオープンになっている
- 自分なりのベストな環境を自由に創る
- ルール③ ユーザーの理想から始める
- ユーザーと一緒にサービスを作っていくことを大事にしている
- ターゲット企業を集めた200名規模のイベント実施
- オペレーション説明会
- ユーザーコミュニティ
- ユーザーと一緒にサービスを作っていくことを大事にしている
- ルール⑦ 異能は才能
- ぶっ飛んだ人間が集まるような組織にしたい
- そのために、対話、フェアでオープンでコミュニケーションを徹底
- オフサイト合宿、週次1on1(mgrの責務)、360°評価フィードバック
- 人間の活動の全ての矛盾はコミュニケーションでしか解決しない、オープンなコミュニケーションで解決出来ない課題は無い
- 健全なコンフリクトを起こして行くことが大事
パネルディスカッション・質疑応答
- 成果が出ているかどうか、どのような評価設計で判断しているか
- SmartHR
- バリューに沿って活躍が出来ているかでポイントをつけている
- 営業はOKR。等級が上がるにつれ、コミットメント=数字が求められる
- FORCAS
- ポジションによって具体的な評価基準が数値で決められている
- 何故あの人があのポジションにいるのか?というsurprise評価が起きないようにしている
- SmartHR
- バリューへの共感があまりないメンバーが既にいる場合の施策、バリューの浸透
- SmartHR
- 1on1を大事にしている
- 営業と開発のコミュニケーションが多いため、価値観の統一は自然と図れている
- FORCAS
- 共感がないメンバーがいないため何とも言えない
- 全社表彰の際に、バリューを軸にして表彰をしている
- マネジメントラインがバリューをしっかり理解していること、それを日々の業務でフィードバック出来ているか、徹底できているかどうか
- SmartHR
- ベンチマークしている会社はあるか
- 最初に採用すべきセールスメンバーのスキルセット
- SmartHR
- プロダクトが好きなことが第一。
- プロダクトをつくるためにしっかり営業ができるかどうか。
- FORCAS
- プロダクトマーケットフィットしなければSaaSは普通に死ぬ
- プロダクトが死ぬ前に、しつこくきちんとNoの理由を聞ける人
- SmartHR
- どういった基準で取引先を決めているのか
- SmartHR
- セールスプロセスの中に、CSが介在するプロセスがある
- SmartHRが活かせるクライアントかどうかを判断するための指標を元に判断している
- SmartHR
- SDRとインサイドセールスの違い
- プロダクトローンチ初期のリード獲得方法
- リード獲得におけるインバウンドとアウトバウンドの比率
- FORCAS
- コールドコール=0% 広告による獲得は獲得効率が悪いため、リアルのイベント等でリード獲得を行っている
- SmartHR
- アウトバウンド=10%程度
- インバウンドは結構変動する。マーケからSDRへ渡す際の基準を状況によってチューニングしているため。
- FORCAS
- 健全なコンフリクトを起こすために気をつけていること、ルール
- FOCAS
- 意図的にコンフリクトを起こさせる、コンフリクトが起きる前提で組織・仕組みを構築するのが重要
- それがマネージャーの仕事では?
- SmartHR
- 会社としてどこを目指しているか、分業して何を目指すのか、をオープンに会話しているからこそ、精算的な議論が出来ている
- FOCAS
- SaaS企業で優れたプロダクトを見抜くポイント
- SmartHR
- 狙った市場が良いかどうか。対象の市場を見る
- プロダクトの改善が早いかどうか
- FOCAS
- 経営者がプロダクトを作った理由が、その人の原体験に無いと結構厳しい。その感覚に共感ができるかどうか。
- ユーザーの声がスピーディーにプロダクトに反映されてるプロダクトは強い
- SmartHR
まとめ、感想
SmartHR、FOCASどちらからも、強烈なプロダクト愛というか、”バリュー”へのコミットメントを強く感じました。
”バリュー”という、土台というか、当たり前のモノ・揺るぎない信念・前提条件の様なものがあって、その上にそれを体現するためのプロダクト、それを適切に市場に届けるためのセールス・CS組織、組織内の目線を揃えるための採用・評価基準etc...が当たり前の様に紐付いているというか。うまく言語化出来なくてもどかしいんだけど。。
スキルは有るけど"バリュー"に合わない人は採用しなかったり、プロダクトが活用されないことがわかっているクライアントは利用をお断りしたりすることは、”バリュー”に対して組織の目線がそろっている一枚岩の状態であれば、そういうルールがあろうがなかろうが、”バリュー”の価値を下げたり毀損するリスクを回避するための自己防衛反応として自然に起こりうるコトなんじゃないかと思う。
"バリュー"を元に顧客や社員を、ある意味選べるのは、それが許される「正しい市場」に対してPMFを実現出来ているからであって、仕組みやノウハウを真似してもあまり意味がなく、ベンチマークされればされる程かえってその会社の”バリュー”が際立ち、他社との差別化につながるからこそ、こうして彼らは自分たちのノウハウを惜しみなく共有してるのかな、とも感じました。深読みし過ぎかな(汗)