読書履歴:GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代 / アダム・グラント

GIVE&TAKE

2016年6月21日読了。

内容まとめ

「情けは人の為ならず」がビジネスにおける成功の要因となりうることを、学術的に・論理的に研究した本。

人は3つのタイプ、「ギバー」=人に惜しみなく与える人、「テイカー」=自分の利益を最優先させる人、「マッチャー」=損得のバランスをとる人、それぞれに分類できるとし、特に「テイカー」について様々な考察がまとめられている。

副題『「与える人」こそ成功する時代』がそこはかとなく啓発書のたぐいを連想させるものの、内容はいたってまじめなビジネス書・学術書。テーマの軽さと内容のギャップに苦しんで読み飽きて挫折しそうになるほど、中身はマジメ。正直、こんなテーマをよくここまでクソマジメに研究したな、と感じる程。

マーカー引いた所(引用・抜粋)

イカーは自分がほかの人より優れていて、別格の存在だと考える傾向がある。だから他人に頼りすぎると、守りが甘くなってライバルに潰されてしまうと思っている(中略)ギバーは、頼り合うことが弱さだとは考えない。それよりも、頼り会うことは強さの源であり、多くの人びとのスキルをより大きな利益のために活用する手段だと考えている。
人間は「他人がしてくれたこと」より自分が「してあげたこと」に関する情報をより多く手に入れる(中略)悪気がなくても、人は自分の貢献を過大評価し、他人の貢献を過小評価する
人は話せば話すほど、いっそうグループについて知ったと思うものなのだ
交渉上手はかなりの時間を費やして「相手側の視点」を理解しようとしていることがわかった。交渉が上手い人の発話のうち21%以上を質問が占めていたが、それに対して平均的な人は10%以下だった。(中略)相手にものを尋ね、その人と良く知り合うことで、ギバーは信頼関係を築き上げ、ニーズを知ろうとする。
ギバーにとって有利な交渉術がある。それは「アドバイスを求めること」だ。最近の調査では、自分に権威が無い場合に人に影響をおよぼすための驚くほど効果的な方法であることがわかっている。(中略)アドバイスを求めることによって、協力関係と情報の共有が促され、もめがちな交渉を、双方が得をする取引に変えた
誰かに何かを聞くということは、自分の自身のなさを伝え、弱さを見せることだ。我こそ答えがすべてわかっていると自信たっぷりに話すのではなく、ほかの人のほうが自分よりも知識があることを認めている。だから、テイカーやマッチャーは、人にものを聞くことは、自分が答えをすべてわかっているわけではないと認めたことになってしまう。自分がか弱く、依存的で、無能に見えるのではないかと恐れているのだ。(中略)自分のエゴを守ることや、確信をもって話すことにこだわらないギバーは、弱く見られようといっこうに気にしない。ギバーがアドバイスを求めるのは、純粋に他人から学びたいと思っているからだ。
アドバイスを請われると、アドバイスする側はその問題やジレンマを相手の視点から見なければならなくなる。
「何か魂胆があって心証をよくしようとしているのではないかと疑われると、利己的で、冷淡で人をいいようにあつかう、信用のできない人間だと思われる」(中略)人に助言を求めることが効果を発揮したのは、それが無意識から出た行動であるときだけだった。ギバーはテイカーやマッチャーよりも積極的に人にものを聞く。ギバーはほかの人のものの見方や意見に心から関心をもっており、聞き上手であるとみなされていた。