読書履歴:あなたのチームは、機能してますか?

3行でまとめ

  • 組織のすべての人間に同じ方向を向かせることができれば(チームワークを築くことができれば)、どんなときでも圧倒的な優位に立てる
  • 本物のチームワークは大抵の企業において実現しにくいものであり、組織がチームワークの実現に失敗する理由は、気づかぬうちに陥りがちな五つの機能不全が存在するためである
  • 五つの機能不全とは以下5つの機能不全のうちいずれか一つでも蔓延することでチームワークが悪化することを指す ①信頼の欠如:弱みを見せまいとし、「完全無欠」を求めてしまう ②衝突への恐怖:互いの信頼の欠如が原因で、「表面的な調和」に帰結しがち ③責任感の不足:健全な衝突が回避されることで、決定に対して誰も責任を持たない「あいまいな態度」がはびこる ④説明責任の回避:行動計画に対して誰も説明責任を果たさないため、怠惰な行動が咎められることなく「モラルの低下」を招く ⑤結果への無関心:誰もが説明責任を果たさないことで、チームの目標よりも個人の「地位と自尊心」が優先される

読後感想

チームワークを阻害する「五つの機能不全」について、架空の新興企業の役員会でのディスカッション(フィクション)を用いて臨場感を持って伝えるもの。停滞した組織にいた経験がある人なら誰しもが少なからず経験したことがあり、心がチクリとする感覚を覚えるのではなかろうか。
本書はチームが目標に向かって一枚岩になれない理由=機能不全に対してどの様に対処すべきか、について述べられたものなので、チームとしての目標を設定する部分が比較的さらっと流れてしまっているが、チームワークが機能不全に陥っている場合に最も影響を受けるのは、チームとしての目標が決まらないこと、全員の目線や課題感が揃わないことだと思う。
本書では、チームワークが整ったことで目標が決まり、組織がスムーズに動き出すプロセスに絞って描かれているが、ビジネスのチームでは鶏卵的になってしまってこうはなかなかうまく行かないのでは?と感じた。ビジネスチームとの対比として、スポーツチームは「勝利」という目標に向けてチームワークを整えやすい、と述べられており、また、フィクションの設定が、ある程度目線が揃っているであろう役員会での議論であるため、鶏卵のリスクヘッジはされているが、ビジネスの場合は「チーム」の定義、誰を巻き込むのか(チームの範囲)、チームの目標はなにか、等々、考慮すべき前提が山程あるなぁと感じた。