読書履歴:カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

3行でまとめ

  • カスターマーサクセスとは、優れた製品に対して顧客の心理的ロイヤリティを創出するための理念
  • カスタマーサクセスの目的は、製品を通して成果と投資利益率がもたらされることであって、製品を最優先事項にせず、カスタマーサクセスの活動を行おうとしても意味が無い
  • カスタマーサクセスにより定期収益ビジネスを成功に導くには、組織や製品、顧客との関係の作り方、ロイヤリティの測定方法等、10の原則が存在する

読後感想

「カスタマーサクセス」という言葉だけが(なんとなく)独り歩きしていて、「カスタマーサポート」とか「リーン開発」とか、顧客と製品との関係に関わる似たような言葉とごっちゃになっているような印象があったけど、本書を読んでスッキリした。
「カスタマーサクセス」とは、サブスクリプション型の商品を購入した既存顧客との関係を効率的に構築することでLTVを高くしましょう、という考え方であり、事業方針、理念のことであって、職種や顧客とのコミュニケーション方法のことではない。
方法論の部分である「ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ」であったり「ヘルススコア」であったりが新鮮味があって新しい概念の様に聞こえていたが、これって従来から既存顧客向けに営業がやっている「御用聞き営業」だとか「効果ヒアリング」とやってること自体に違いはあまりない。
ただ、それだと顧客との関係が属人化されてしまい、非効率で、顧客が製品の利用を通じて自走することを目指せなくなってしまう。
肝心なのは、製品自体が優れていて、それを利用することで顧客の自立を促し、ロイヤリティを高めることで利益をもたらしてくれる様な設計になっていること、製品から顧客が最大の価値を受け取れるようにすることであって、究極的には顧客が助けを求める頻度がどんどん減って行くこと。
従来の営業的手法では、顧客との(個人的な)関係構築自体が目的になってしまい、顧客との関係性を持っていることが営業として他者との差別化要素になり、製品や事業、組織に全くフィードバックされない=製品や組織に対する投資に対してレバレッジが効かない、ということなんだと理解。カスタマーサポートやリーン開発より、グロースハックとかMarketingAutomationとかの考え方により近しい印象を持ちました。